ADB、フィリピンGDP成長率予想を下方修正

2014/09/25

今年6.4%から6.2%へ、来年6.7%から6.4%へ
ASEAN主要国では最高、経常収支黒字も続く

 

 アジア開発銀行(ADB)は9月25日、『アジア経済見通し(ADO)2014年改訂版』を発表した。ADOはADBが毎年春に発表している代表的報告書の一つであり、秋にその改訂版が発表される。


 ADO2014改訂版によると、アジア途上国(日・豪・NZを除くアジア・太平洋の45カ国・地域)の経済見通しについて、先進国経済の成長率は想定よりも鈍いにも関わらず、アジア・太平洋地域では主要な国で構造改革が進むことから、同地域の成長率は引き続き世界で最も早いものとなるとの見方を示した。そして、アジア途上国全体のGDP成長率について、2014年6.2%、2015年6.4%%とのADO2014発行時の予想を据え置いた。

 ADBは、「一部の域内国は外需鈍化の影響を受けているものの、アジア・太平洋地域全体でみれば、今年と来年は堅調である。中国、インド、インドネシアの域内3大経済国で構造改革のプロセスが進むかどうかが、先行きを占う重要な要素となるだろう」と概括している。

 東南アジアの成長率に関しては、今年大きく軟化したのち、来年回復すると予想されている。2014年予想に関してはADO予想の5.0%から4.6%に下方修正された。比較的経済規模の大きな国で内需が緩んでおり、フィリピン、インドネシア、シンガポール、タイ、ベトナムの成長率予想が引き下げられた。対照的にマレーシアでは、輸出の復調により経済成長が大幅に力強さを増している。2015年は、主要先進国の経済が改善し、タイ経済が停滞から抜け出すことから、東南アジア全体の成長は5.3%まで上昇すると予想されている。ただし、ADO予想の5.4%からは小幅下方修正されている。

 フィリピンの成長率に関しては、2013年実績7.2%に対し、2014年が6.2%、2015年が6.4%と予想されている。各々、ADO予想の6.4%、6.7%から下方修正されている。一方、インフレ率に関しては、2014年4.4%、2015年4.1%と予想されており、各々、ADO予想の4.3%、4.1%から上方修正となっている。また、経常収支黒字対GDP比率は2014年3.2%、2015年2.8%と予想されており、各々、ADO予想の3.4%、3.2%から下方修正されている。

 フィリピンは、大型台風の影響などにより成長率予想が下方修正されているが、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、シンガポールというASEAN主要国のなかでは、最高の成長率であるし、唯一の6%台成長継続と予想されている。また、経常収支も黒字が継続すると予想されている。ただし、ミャンマー、カンボジア、ラオスという新成長国の経済成長率には及ばない。

 ミャンマーの成長率予想は2014年が7.8%、2015年も7.8%、ラオスが同じく7.3%、7.4%、カンボジアが同じく7.0%、7.3%と予想されている。すなわち、これらの3カ国はいずれも7%台の成長が続くと予想されている(14年9月25日のアジア開発銀行発表より)。