サンミゲル、フィリピン航空等からの撤退完了へ
2014/09/16
49%を13億ドルで売り戻し(取得額5億ドル)
エティハド航空等が40%出資交渉との観測も
サンミゲルのフィリピン航空(PAL)グループからの撤退が完了しつつある。
多角化を推進してきたサンミゲルは2012年に、 100%子会社であるサンミゲル・エクイティー・インベストメントを通じて、PALホールディングス(PALH)へ49%の間接出資を行った。PALHの傘下にはフィリピン航空(PAL)や格安航空会社エア・フィリピン(エア フィル)があり、サンミゲルはPALグループの49%を支配することになった。この49%はルシオ・タン氏グループから5億米ドル で取得した。
その結果、これまでPALグループ支配率は、ルシオ・タン氏グループが51%、サンミゲル・グループが49%という状況が続いてきた。そして、サンミゲルのラモン・アン社長が PALの社長も兼任、PALの効率化や新鋭機導入などを推進、サンミゲル側が経営支配力を強めつつああった。
しかし、このほどPALグループにおけるサンミゲルとルシオ・タン氏グループ連合が分裂した。ルシオ・タン氏グループがPALグループ49%の買い戻しを要求、 9月8日に、サンミゲルのラモン・アン社長もこの要求受け入れに合意したからである。ルシオ・タン氏グループは、49%の買い戻し資金を傘下のフィリピン・ナショナル・バンク(PNB)やSMグループのBDOユニバンク名等からの借り入れで調達、16日までに支払いを済ませた。
この支払いにより、サンミゲルのPALグループ49%売り戻し、すなわち撤退が事実上完了、あとは事務手続きを残すのみとなった。事務手続きが完了すれば、ラモン・アン氏のPAL等の社長辞任なども行われ、PALグループは再びルシオ・タン氏グループがほぼ完全支配することになりそうだ。ただし、既に、アブダビのエティハド航空による40%出資交渉などが行われているようであり、サンミゲルに変わるパートナーが出現する可能性もある。
なお、2年前のルシオ・タン氏によるPALグループ49%のサンミゲルへの売却額は5億米ドル相当であった。ただし、サンミゲルは49%出資以降、新鋭機購入などで巨額の資金をつぎこんできていることから、49%の売り戻し額は13億米ドルと報道された。
サンミゲルもPALHもこの13億ドルという報道を否定しなかったことから、ルシオ・タン氏グループのサンミゲルからの買い戻し額は、一時の10億米ドルとの観測を大幅に上回る13億米ドルであったようだ(14年9月16日のフィリピン証券取引所回覧04920-2014号などより)。