消費者信頼感指数、4年超ぶりの低水準

2014/09/14

第3四半期-26.3%へ悪化(前期-17.3%)
物価上昇や政治懸念で:中央銀行調査

 

フィリピン中央銀行(BSP)は9月12日、2014年第3四半期(14年7~9月)の全国消費者信頼感調査結果を発表した。


 この調査結果は、消費者信頼感を指数(DI)化したものとして示される。 DIとはディフュージョン・インデックス(diffusion index)の略で、景気見通しなどが「よくなった」などとする消費者の割合から「悪くなった」などとする消費者の割合を差し引いた値のことである。

 今回の調査実施時期は2014年7月1日~12日。国家統計局(NSO)の世帯調査マスターサンプル一覧に基づき選定された全国6,106世帯(マニラ首都圏3,031世帯、地方3,075世帯)を対象として、実施された。回答率は97.4%。回答者のうち低所得者グループ(1万ペソ以下)が全体の 46.7%、中所得者(1万~3万ペソ未満)グループが36.9%、高所得者(3万ペソ以上)が16.5%。

 調査結果によると、2014年第3四半期の全国消費者信頼感指数は-26.3%で、前期(-17.3%)及び前年同期 (-7.9%)から悪化した。そして、2010年第2四半期の-28.7%以来、4年と1四半期ぶりの低水準となった。地域別でみると、首都圏は-24.1%(前期-17.3%、前年同期-3.7%)、地方は-26.6%(前期 -17.3%、前年同期-8.5%)。

 回答者は消費者のセンチメントが悪化した要因として、1)日用品価格の上昇 2)優先開発援助基金(PDAF)及び財政支出促進計画(DAP)の問題等政治的な懸念 3)家計の出費増大 4)所得、雇用機会、ビジネス環境に対する懸念等を挙げた。フィリピンにおける消費者の見通しは、ユーロ圏や英国における消費者の下向き傾向なセンチメントに類似している。

 中央銀行消費者信頼感指数は、1)フィリピンの経済情勢 2)家計状況(収入・貯蓄・借金など) 3)家計所得の3指標から成る平均的信頼感指数であ る。14年第3四半期のフィリピンの経済情勢に対する消費者信頼感指数(全国ベース:以下同様)は-46.6%(前期-30.2%)、家計状況は -23.8%(同-16.8%)、家計所得は-8.4%(同-4.9%)と軒並み前期より悪化した。

 高所得者(3万ペソ~)層の信頼感指数は、1. フィリピンの経済情勢:-33.2%(前期:-16.3%)、2. 家計状況:13.1%(同18.8%)、3. 家計所得:21.9%(同24.2%)、経済情勢のみマイナスであった。中所得者(1万~2万ペソ)層は、1. -45.5%(前期:-27.4%) 2. -6.9%(同2.1%) 3. 4.1%(同12.4%)。 一方、低所得者(1万ペソ以下)層は、1. - 49.5% (前期:-34.5%) 2. -38.8% (同-34.6%) 3. -20.0%(同-20.6%)と全てマイナスであった。 低所得者層にとって、依然信頼感は非常に低いという結果になった。

 次期(2014年第4四半期)信頼感指数は全国ベースで-1.0%となり、前期の次期信頼感指数0.0%から1.0%ポイント悪化。また、今後12カ月間の消費者信頼感指数は9.7%で前期の同15.9%から6.2%ポイント低下した(14年9月12日のフィリピン中央銀行発表より)。