比中央銀行テタンコ総裁、世界最優秀総裁の一人に
2014/09/09
70カ国番付で4年連続のA評価(今年7名)、通算6回目
日銀黒田総裁はB+、一昨年の白川総裁時C-から回復
米系の著名金融誌「グローバル・ファイナンス」は9月5日に、1994年から毎年実施されている「中央銀行総裁レポート」の2014年版を発表した。
このレポートは、インフレ抑制、経済成長、通貨安定、金利政策等の観点から、各国・地域の中央銀行総裁の一年間の実績を評価するものである。評価はA (非常に優れた成果)~F(完全な失敗)の6段階番付で比較されている。今回は70カ国・地域の中央銀行が対象となっている。ただし、5カ国の総裁については就任後の期間が短いことから「評価するには時期尚早」とされている
2014年レポートで最上位のAとして評価されたのは、アジアでは、フィリピン中央銀行(BSP)アマンド・テタンコ総裁、マレーシア中央銀行(BNM)ゼティ・アクター・アジズ総裁、台湾中央銀行の彭淮南総裁、インド準備銀行(RBI)ラグラム・ラジャン総裁の4名であった。スイス、サウジアラビア、イスラエルの中央銀行総裁もAと評価されており、世界全体では7名がA評価となった。
テタンコ総裁は、2011年、2012年、2013年に続いて4年連続でAランクと評価された。2006年、2007年にも連続でAランクと評価されており、通算6回目のA評価となった。
テタンコBSP総裁のリーダーシップのもとで、フィリピンのインフレ率は2012年3.1%、2013年3.0%、2014年8カ月間で4.4%と比較的低位で安定している。また、2014年5月末現在の商業銀行の不良債権(NPL)比率は2.17%と低水準である。一方、2014年3月末の商業銀行のバーゼルⅢ基準による自己資本比率(CAR)が16.50%と高水準であるなど、フィリピンの金融システムは強固になっている。これらにより、テタンコBSP総裁は世界最優秀総裁の一人として評価された。
今回のレポートにおいて、台湾中央銀行の彭淮南総裁は、10年連続通算11回目のA評価となった。また、欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁はAマイナス(A-)で昨年と同水準であった。米国連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン議長は就任後の期間が短いことから「評価するには時期尚早」とされた。一方、中国人民銀行の周小川総裁はBマイナス(B-)で昨年のCから1ランク上昇した。
なお、日本銀行の黒田東彦総裁はBプラス(B+)と評価された。昨年は、就任期間が1年に満たないことから「評価するには時期尚早」とされていた。ちなみに、一昨年のレポートでは白川総裁(当時)の評価はCマイナス(C-)であり、アジアで最低、アルゼンチンとエクアドルのDに次ぐ世界ワースト3となっていた。その当時からは、日本銀行総裁の評価は回復している(14年9月5日のグローバル・ファイナンス発表などより)。
70カ国番付で4年連続のA評価(今年7名)、通算6回目
日銀黒田総裁はB+、一昨年の白川総裁C-からは回復