フィリピン航空からサンミゲル撤退

2014/09/09

ルシオ・タン氏、株式49%買戻し完全支配へ

 

 フィリピン航空(PAL)の経営権を巡って、サンミゲルとルシオ・タン氏グループとの間で激しい交渉が行われてきた。

 多角化を推進してきた サンミゲルは2012年に、 100%子会社であるサンミゲル・エクイティー・インベストメントを通じて、フィリピン航空(PAL)やその傘下の格安航空会社エア・フィリピン(エア フィル)、それらの持株会社PALホールディングス(PALH)へ各々49%の間接出資を行った。これらの49%はルシオ・タン氏グループから5億米ドル で取得した。

 その結果、現在のPALやエアフィルの出資比率は、ルシオ・タン氏グループが51%、サンミゲル・グループが49%となっている。そして、サンミゲルのラモン・アン社長が PALの社長も兼任、PALの効率化や新鋭機導入などを推進、サンミゲル側が経営支配力を強めつつああった。

 しかし、このサンミゲルとルシオ・タン氏グループ連合が分裂しつつある。ルシオ・タン氏グループがPAL等の株式49%の買戻しを要求したからである。 サンミゲルのラモン・アン社長も金額次第ではこの要求受け入れの用意があることを表明していた。

 9月8日遅く、サンミゲルとルシオ・タン氏グループは、「両グループはPAL等の株式49%取引交渉において合意、合意書に署名した」と発表した。それによると、一定の条件のもとで、ルシオ・タン氏がPAL等の株式49%を買い戻すとのことである。

 2年前のルシオ・タン氏による49%の売却額は5億米ドル相当であった。ただし、サンミゲルは49%出資以降、新鋭機購入などで巨額の資金をつぎこんできていることから、49%の買戻し額として10億ドルを要求した。現地報道によると、実際、ルシオ・タン氏の買い戻し額は2倍の10億米ドル相当と合意されたとのことである。この買戻しが完了すると、ルシオ・タン氏はとりあえずPAL等を完全支配することになる(14年9月9日のフィリピン証券取引所回覧04831-2014号などより)。