8カ月間の株価19.7%上昇、史上最高値視野に

2014/09/01

鉱業・石油株47.7%急騰、不動産株は21.4%上昇
ペソ対米ドルレートも堅調、1.9%のペソ高に

 

フィリピン株式市場が堅調な動きを続けている。

 フィリピンの代表的な株価指数であるフィリピン証券取引所指数(PSEi)は、年間ベースでは2013年まで5年連続の上昇となったが、2013年の上昇率は1.33%と小幅なものとなった。非常に好調であった2013年5月央まで の上昇分が、年後半の調整でほぼ吐き出された。しかし、2014年に入ると値頃感からの買いやフィリピン経済の強さの再評価などで再上昇基調となっている。 

 

フィリピン証券取引所指数、ペソ対米ドルレートの動き(年末、もしくは月末値)

フィリピン証券取引所株価指数 ペソ対米ドルレート
  時期 年末・月末値 上昇率 年末・月末値 上昇率
2004年 1,822.83ポイント 26.38% 56.280ペソ -1.39%
2005年 2,096.04ポイント 14.99% 53.090ペソ 6.01%
2006年 2,982.54ポイント 42.29% 49.030ペソ 8.28%
2007年 3,621.60ポイント 21.43% 41.280ペソ 18.77%
2008年 1,872.85ポイント -48.29% 47.520ペソ -13.13%
2009年 3,052.68ポイント 63.00% 46.200ペソ 2.86%
2010年 4,201.14ポイント 37.62% 43.840ペソ 5.38%
2011年 4,371.96ポイント 4.07% 43.840ペソ 0.00%
2012年 5,812.73ポイント 32.95% 41.050ペソ 6.80%
2013年 5,889.83ポイント 1.33% 44.395ペソ -7.53%
         
2014年1月 6,041.19ポイント 2.57% 45.320ペソ -2.04%
2月 6,424.99ポイント 6.35% 44.630ペソ 1.55%
3月 6,428.71ポイント 0.06% 44.815ペソ -0.41%
  4月 6,707.91ポイント 4.34% 44.600ペソ 0.48%
5月 6,647.65ポイント -0.89% 43.760ペソ 1.92%
6月 6,844.31ポイント 2.96% 43.650ペソ 0.25%
 7月  6,864.82ポイント  0.30%  43.460ペソ  0.44%
8月 7,050.89ポイント 2.71% 43.590ペソ -0.30%
8カ月間 - 19.71% - 1.85%

(出所:フィリピン証券取引所やPDS資料より作成)

 PSEiは、2014年8月月間では2.71%の続伸となった。
米国景気回復期待を背景にNYダウ30種が1万7千ドル台で推移するなど主要国市場が総じて堅調に推移したこと、フィリピンの第2四半期GDP成長率が6%台に回復するとの期待などを背景に強い動きを見せた。そして、実際28日にGDP成長率は6.4%でアジア主要国で2番目に高かったと発表された。
 
 GDP発表当日と翌日は目先の材料出尽くし感にともなう利食いで反落したものの年初8カ月間の上昇率は19.71%に達した。8月27日には一時7,176.23ポイントまで上昇、昨年5月15日に記録した史上最高値(場中瞬間値ベースで7,403.65ポイント、終値ベースで7,392.20ポイント)を視野に入れた。セクター別指数では鉱業・石油株47.70%上昇工業株24.10%上昇不動産株21.35%上昇などが目立つ。

 8カ月間の1日当たり平均売買額は82億7,286万ペソに達しているが、非常に高水準であった2013年年間平均の105億2,000万ペソを下回っている。外人の売買額シェアは51%で、2013年の51%と同水準、2012年の45%、2011年の37.8%からは上昇している。外人は8カ月間で591億7,662万ペソの買い越しとなっている。8月末の時価総額は前年末比13.9%増の13兆5,949億ペソ、そのうち、国内企業時価総額が同17.2%増の11兆3,004億ペソ、外国企業時価総額が同0.4%増の2兆2,945億ペソであった。

 

フィリピン証券取引所のセクター別株価指数上昇率

項目 12年の上昇率 13年の上昇率 14年8月末終値 8カ月間上昇率
フィリピン証券取引所指数 32.95% 1.33% 7,050.89 19.71%
全株指数 21.48% -2.29% 4,170.01 15.37%
  金融株指数 57.49% -6.42% 1,625.81 13.85%
  工業株指数 25.48% 2.11% 10,784.75 24.10%
  持株会社株指数 47.01% 5.41% 6,150.12 13.27%
  不動産株指数 55.59% -4.30% 2,676.33 21.35%
  サービス株指数 6.70% 8.20% 2,237.16 19.89%
  鉱業・石油株指数 -17.43% -38.59% 17,603.15 47.70%

(出所:フィリピン証券取引所資料より作成)

 

 

フィリピン証券取引所の指数、規模、売買額等の推移(年末・年間値、2014年は8月末値)

項目 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年8月
フィリピン証券取引所指数 3,052.68 4,201.14 4,371.96 5,812.73 5,889.83 7,050.89
年末時価総額(億ペソ) 60,291 88,611 86,970 109,301 119,313 135,949
  国内企業時価総額 39,919 68,922 72,390 94,163 96,452 113,004
  外国企業時価総額 20,372 19,689 14,580 15,138 22,861 22,945
1日平均売買額(億ペソ) 41.1 49.5 57.1 72.6 105.2 82.7
外人の売買額シェア 32.4% 38.1% 37.8% 45.0% 51.0% 51.0%
外人買越額(億ペソ) 149.2 356.2 565.2 1,099.80 155.9 591.8
PER(株価収益率) 23.26倍 21.32倍 16.57倍 17.97倍 17.79倍 21.96倍

(出所:フィリピン証券取引所資料より作成、株価収益率はPSE基準算出数値)

 

一方、PDS(フィリピン・ディーリング・システム)でのペソ対米ドルレートは、2014年8月末終値が1米ドル=43.590ぺソとなり、月間で0.30%の反落となった。米国景気回復期待などにともなうドル高の動きが当地にも波及した。また、ウクライナなど海外情勢に関する不透明感も響いた。

 しかし、今年に入り、フィリピン中央銀行が預金準備率引き上げ、特別預金口座(SDA)金利引き上げ、翌日物金利引き上げなど連続で金融引き締め策を講じていることなどからペソは比較的底堅く推移している。8カ月間累計では1.85%のペソ高となっている(フィリピン・ディーリング・システムやフィリピン証券取引所の取引記録などより)。