企業景況感が急悪化、3年ぶりの低水準:中銀調査

2014/08/31

トラック規制等響き第3四半期34.4%に(前期50.7%)

 

 フィリピン中央銀行(BSP)による企業調査によると、2014年第3四半期(7~9月)の総合景況感指数(CI)は34.4%ポイントで、前期(50.7%)、前年同期(42.8%)から急悪化した。そして、2011年第3四半期の34.1%以来、3年ぶりの低水準となった。


 景況感指数(CI)は景気動向に関して良いという回答から悪いという回答を差し引いたもので、ゼロが中立となる。今回の聞き取り調査期間は2014年7月1日~7月15日、調査対象は証券取引員会(SEC)登録上位7,000社から選び出された全国17地域の1,527社(首都圏607社、地方920社)で、回答率はフィリピン全体で84.3%(前期83.9%)。首都圏の回答率は80.9%(前期 80.4%)、地方が86.6%(同86.2%)。回答者を業種別で見ると、輸入企業が18.1%、輸出企業が5.9%、輸出入企業が20.6%。回答者の約55.4%は輸出・輸入企業のどちらでもないか、または業種を明記しなかったかのいずれかである

 景況感指数が前期から急低下した主な理由として、回答企業は、1)前期の納税・卒入学シーズンで出費が増えた後の消費者の買い控えや雨期中のビジネス活動の中断など季節的な需要の鈍化  2)生活必需品及び光熱費・原料の値上がり 3)マニラ市のトラック通行規制・マニラ港過密問題によるビジネス活動の鈍化 4)地方優先開発援助金(ポークバレル)及び政府の支出加速計画(DAP)による政治的雑音などを挙げている。フィリピンの景況感は英国、カナダ、ドイツ、ニュージーランド、香港、インド、シンガポールにおける弱気なビジネス見通しに酷似している。

 第3四半期の総合景況感指数(CI)を地域別に見ると、首都圏が37.5%(前期53.4%)、地方が29.1%(同46.1%)と共に前期を下回った。

 業種別では、鉱工業セクターが30.1%(前期46.5%)、建設セクターが42.3%(同60.2%)、卸売・小売セクターが31.6%(同 46.6%)、サービスセクターが41.0%(同58.4%)。サービスセクターでは、金融仲介業が51.5%(前期63.5%)、ホテル・レストランは 8.7%(同38.4%)、ビジネス活動は39.1%(同59.0%)、不動産は43.8%(同64.2%)、地域社会サービスは48.0%(同 51.7%)、輸送は41.1%(同60.8%)。

 一方、次期(10~12月)に関しては、総合景況感指数(CI)は52.9%で、前期時点での次の期のビジネス見通し(48.9%)より上昇した(14年8月29日のフィリピン中央銀行発表より)。