東芝、フィリピン拠点のストレージ事業に注力
2014/08/26
HDDで20%以上、SSDで30%以上のシェア獲得へ
東芝の社内カンパニーである「東芝セミコンダクター&ストレージ社」は、8月25日に、「東芝のストレージ製品戦略を発表した。その概要は以下のとおり。
東芝は、エネルギー、ヘルスケアとともにストレージを注力事業と位置付けている。ストレージ事業においては、NANDとともにHDDやSSDなどのストレージ製品を基幹製品として位置づけている。今後拡大が期待されるクラウド、ソーシャル・ネットワーク・サービスビジネスに向け、ストレージ製品の競争力向上と拡大を図る。
東芝は、ストレージ製品を幅広くラインアップしており、特にエンタープライズ向け製品に注力し、製品開発を進める。ニアラインHDDにおいては、大容量化を進め、市場シェアを拡大する。また、エンタープライズSSDにおいては、NAND型フラッシュメモリ内製の強みを活かし、データセンタでの高速処理ス トレージ向けにラインアップ拡充を進め、市場シェアを拡大する。
HDD市場における市場シェアを、2016年には20%以上獲得することを目指す。また、エンタープライズ向けSSD(SASインタフェース)市場では 2016年に30%以上の市場シェア獲得を目指す。また、今後も更なるストレージ製品事業ドメインの拡大・収益性向上に向け、ストレージシステム向けのソフトウエア、ソリューション(アプライアンス)等付加価値の高い事業領域への進出を図っていく。
産業界におけるデジタルデータの活用は今後も増加すると予測されている。地球上で生成されるデータは拡大を続け、2020年には44ゼタバイトに達すると言われている。特にビッグデータ革命とも呼ぶべき動きの中で、ペタバイトクラスの大容量データを保存すると同時に、それを超高速で分析する新しいコンピュータ・アーキテクチャが要求され、新たな市場が生まれている。そのような環境下、大容量データ保存を担うHDDと超高速データアクセスを担うSSD は、それぞれの特性を活かして共存していくと考えられる。
東芝は、従来特化してきたモバイル市場向け小型ハードディスクドライブ(HDD)に加え、2009年に富士通のHDD事業を買収し、サーバ市場向け HDDにも事業分野を拡大した。また2011年7月には、社内カンパニーである「セミコンダクター社」と「ストレージプロダクツ社」を統合し、NAND型 フラッシュメモリ、ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)、HDDを一社で併せ持つ「東芝セミコンダクター&ストレージ社」を創設、総合ストレージ事業 を推進してきた。
ストレージ製品市場は、パソコン、タブレット端末、スマートフォンなどのアプリケーションの多様化や、クラウド化の進展による情報量の爆発的な増大によ り、需要が急拡大、今後も継続的な拡大が見込まれている。東芝はこのような需要増加に対応すべく増産を行う意向である。
東芝のストレージ製品製造拠点は、フィリピンラグナ州ラグナテクノパークに立地する東芝情報機器フィリピン社(TIP)である。現地報道によると、TIPの現在のHDDとSSDの年産能力は5,000万個であるが、少なくとも6,000万個以上への増産、すなわ ち20%以上の増産を行うとのことである。特に、SSDの増産に比重を置くとのことでもある。
このフィリピンでの増産などにより、東芝はストレージ事業の拡大を加速し、同業界におけるリーディングカンパニーを目指す(14年8月25日の東芝セミ コンダクター&ストレージ社ニュースリリースなどより)。