フィリピンのオフィス賃貸料、上昇続く

2014/08/15

マカティ高級物件、1年で約7%値上がりへ
平米990~1,360ペソに:コリアーズ予想

 

 国際的な不動産 コンサルティング企業であるコリアーズ・インターナショナル(コリアーズ)が、フィリピン不動産市場概観2014年第2四半期(4~6月)動向及び今後の見通しを発表した。

 2014年内にマニラ首都圏内で供給される予定のオフィススペースは合計で約48万㎡。第2四半期新たに5つのビル(オフィス延べ床面積:約13万㎡) が完成し、上半期でその45%に達した。新5ビルのうちサイバースケープ・アルファ(3万5,440㎡)、ベータ(3万2,750㎡)、SMサイバ-・ウェスト・アベニュー(2万0,430㎡)の3ビルはBPO(業務受託)ビジネス向けで、RCBCセービング・バンク・コーポレート・センター(2万 8,160㎡)、マルコ・ポーロ・マニラ・オフィス(7,770㎡)は通常のオフィスユーザー向けビルである。全てマカティ中央ビジネスくCBD)外に位置する。マカティ市内に新オフィスの供給がないことで、ボニファシオ・グローバル・シティ(フォート・ボニファシオ)のオフィス需要が高まった。

 マカティ中央ビジネス区(CBD)では開発可能な土地不足で、オフィスストックは284万平米止まりであったが、年内にはレガスピ・ビレッジ地区のフラベリェ・レガスピ・ビル(7,510㎡)が市場に供給される見通し。

 オフィス需要に関しては、マカティCBDでは利用可能なオフィススペースへの需要が高く、全般の空室率は前期の4.2%から2.1%に減少した。プレミ アム物件はスエリグ・ビル(Zuellig)、Bクラス・Bクラス以下物件では、Vコーポレートセンターの需要増加で、それぞれ空室率は低下した。今後 12カ月でさらに需要が高まる見通し。

 マカティCBDのオフィス月間賃貸料は、利用可能なストックに対する競争の激化の影響で、依然値上がり傾向にある。プレミアム物件の平均賃貸料は前期比4%増の1,100ペソ/平米であった。コリアーズは、今後12カ月間(15年第2四半期)にプレミアム物件、A・Bクラスで6.9%上昇 すると予想している(14年8月14日のコリアーズ・フィリピンズ発表より)。

    マカティCBDオフィス平米当たり月間賃貸料(単位:ペソ/㎡)

物件タイプ 14年Q2 14年Q1 対前期伸び率 15年Q2(予) 年間変化率予想
プレミアム 930~1,270 890~1,225 4.0% 990~1,360 6.9%
Aクラス 650~985 610~970 3.6% 695~1,055 6.9%
Bクラス 515~715 475~655 8.9% 550~770 6.9%



    マカティCBDオフィス空室率

物件タイプ 14年Q2 14年Q1 15年Q2(予)
プレミアム 0.6% 1.9% 0.2%
Aクラス 6.8% 7.2% 4.3%
Bクラス以下 1.0% 3.8% 1.7%
全クラス 2.1% 4.2% 2.0%



    マニラ首都圏のオフィスストック&新規供給予想(単位:㎡)

地区 13年末総面積 14年供給 15年供給 16年供給 合計
マカティCBD 2,827,865 22,802 - - 2,850,668
オルティガス 1,160,350 125,999 75,072 17,378 1,378,799
BGC 929,810 69,529 119,096 250,783 1,369,218
イーストウッド 300,264 - - - 300,264
アラバン 305,707 75,036 - 16,200 396,943
その他 1,027,220 187,702 255,313 202,365 1,672,600
合計 6,551,217 481,068 449,481 486,726 7,918,492

(その他:マニラ、パサイ、マンダルーヨン、ケソン市、BGC=ボニファシオ・グローバルシティ)


    マカティCBDオフィス資本価値(利用可能エリア)(単位:万ペソ/㎡ )

物件タイプ 14年Q2 14年Q1 対前期伸び率 15年Q2(予想) 年間変化率予想
プレミアム 14.2~15.1万 13.8~14.5万 3.3% 14.9~15.8万 5.0%
Aクラス 7.8~11.0万 7.6~10.6万 3.4% 8.2~11.6万 5.4%
Bクラス 5.6~7.7万 5.4~7.3万 5.0% 5.9~8.1万 4.8%

(上記の表は全てコリアーズ・インターナショナル資料より作成、予想も同社によるもの)