サンミゲル、フィリピン航空100%支配か撤退の岐路

2014/07/29

 

 

 フィリピン航空(PAL)の経営権を巡って、サンミゲルとルシオ・タン氏グループとの間で激しい交渉が行われている。

 多角化を推進してきたサンミゲルは2012年に、 100%子会社であるサンミゲル・エクイティー・インベストメントを通じて、フィリピン航空(PAL)やその傘下の格安航空会社エア・フィリピン(エアフィル)、それらの持株会社PALホールディングス(PALH)へ各々49%の間接出資を行った。これらの49%はルシオ・タン氏グループから5億米ドルで取得した。

 その結果、現在のPALなどの出資比率は、ルシオ・タン氏グループが51%、サンミゲル・グループが49%となっている。そして、サンミゲルのラモン・アン社長が PALの社長も兼任、PALの効率化や新鋭機導入などを推進、サンミゲル側が経営支配力を強めつつある。

 しかし、このサンミゲルとルシオ・タン氏グループ連合が分裂することになりそうである。ルシオ・タン氏グループがPALなどの株式49%の買戻しを要求している。サンミゲルのラモン・アン社長もこの要求受け入れの用意があることを表明した。ただし、サンミゲルはPALなどへの出資以降、新鋭機購入などで巨額の資金をつぎこんできていることから、49%の買戻し額として10億ドルを要求しているとのことである。

 したがって、ルシオ・タン氏グループが10億ドルを用意すれば、サンミゲルは49%の売却に応ずるようだ。しかし、10億ドルを用意できなければ、ルシオ・タン氏グループの保有する51%を追加取得する意向である。すなわち、サンミゲルはPALなどの経営権を100%掌握するか、逆にPALなどから撤退することになる。

 両グループともに、現在進行中の交渉が決着すれば、適切かつ速やかな情報公開を行うと表明した(14年7月28日のフィリピン証券取引所回覧04055-2014号などより)。