東洋建設、125億円の河川改修事業受注
2014/07/23
日本の高技術力結集し洪水被害軽減へ
東洋建設(本社:東京都江東区)は、フィリピン公共事業道路省が発注するパシグ・マリキナ川河川改修事業(フェーズⅢ)パシグ川工区(東洋建設・清水建設共同企業体)及びマリキナ川下流工区(東洋建設単独)の2工事を受注し、6月及び7月にそれぞれ着工した。
受注金額は総額約125億円(うち、東洋建設受注金額約93億円。パシグ川工区JV総額65億円、マリキナ川工区60億円)で、パシグ・マリキナ川河川改修工事(フェーズⅡ、受注総額71億円)に続く受注となった。この工事は日本政府開発援助(ODA)の有償資金協力(円借款)のうち、本邦技術活用条件(STEP)として実施される。
マニラ首都圏の中でも特に都市化が進んだ地域を貫流しているパシグ・マリキナ川の洪水被害は、同地域に深刻な経済的、社会的影響を及ぼしてきた。同河川の洪水被害を軽減すること並びに河川沿いの環境を改善することを目的とした同事業は、インフラ整備のなかでも特に社会的貢献度の高い事業であり、同地域の安定的な経済発展に寄与する事が期待されている。
今回受注したフェーズⅢでは、パシグ川工区(16.4km)でマニラ湾河口部のデルパン橋からナピンダン洪水調整ゲートまでの護岸建設・改修を、マリキナ川下流工区(5.4km)でナピンダン洪水調整ゲートからマンガハン放水路下流までの浚渫・堤防建設・護岸改修を行う。
この工事の施工にあたっては、マニラ首都圏に多く見られる中硬岩地盤への鋼矢板打設時の振動・騒音を最小化し工期を短縮する事が可能な「ウォータージェット併用バイブロ工法」や護岸構造の断面性能を高めるH型鋼を結合したハット型矢板(新日本製鐵)を採用する。
ハット形鋼矢板とH形鋼を組み合わせた高耐力構造である、「新日鉄ハット形鋼矢板 + H形鋼工法」(ハット+H工法)は、世界最大幅を持つハット形鋼矢板(幅900mm)の(1)高い耐力と(2)施工性の良さを活かし、サイズメニューが豊富なH形鋼をハット形鋼矢板に結合させることにより、工事地域の地盤状態に応じてより高い「耐力」を自由に設定できる、高い耐力と低コストを両立した構造である。都市部の狭隘地域や軟弱地盤地域、さらには水深の深い岸壁・護岸工事等において有効である。
また、浚渫土にセメントを混合し、高含水比の浚渫土を再利用可能な状態までに改良する「事前混合固化処理工法」を取り入れるなど日本の高い技術力が活用されることになる。
東洋建設は、自然災害が多い国の一つであるフィリピンに1973年に進出して以来、様々な事業に参画し、大規模な河川工事分野では、アグノ川流域緊急復旧工事(ルソン島中部)、オルモック市洪水対策工事(レイテ島)、ラオアグ川治水・防砂工事(ルソン島北部)、そして上記のパシグ・マリキナ川河川改修工事フェーズⅡ等の実績を着実に積上げてきている。
そのほか、スズキ・フィリピンのラグナ州カンルーバンのカーメルレイ工業団地内の二輪車新工場建設(2012年完工、前田建設工業との共同案件)なども手掛けている。
東洋建設は、今後もインフラ整備事業を始めとする様々な事業に参画し、保有する技術をフィリピンで展開することで、フィリピンの社会・経済発展に寄与して行く方針である(14年7月23日の東洋建設株式会社ニュースリリースなどより)。