日本人商工会議所会員数、マニラ537社に

2014/07/15

セブは118社、ダバオ19社、PEZA優位に
日商ウェブサイトに西澤JCCIP事務局長執筆

 

日本商工会議所ウエブサイトのニュースライン海外情報レポートに、「マニラ近郊の日系企業の立地動向とPEZAの優位性(フィリピン)」」という記事が次のように掲載されている。執筆者はフィリピン日本人商工会議所の西澤 正純事務局長である(以下、ほぼ原文のまま)。



 『フィリピンには、マニラに事務所があるフィリピン日本人商工会議所のほかに、セブ島とミンダナオ島(ダバオ)にも別の日本人商工会議所がある。日系法人企業の会員数はマニラ537社、セブ118社、ダバオ19社となっている(2014年4月現在)。昨今のフィリピン経済の高成長と豊富で低廉な労働力などでフィリピンの注目度が高まっていることもあってか、マニラの法人企業数はこの3年で40社以上増えた。

 当所会員企業の大半はルソン島のマニラ首都圏か、カラバルソン(CALABARZON)エリアに本拠地を置いている。カラバルソンとはマニラ首都圏周辺のカビテ州(CA)、ラグナ州(LA)、バタンガス州(BA)、リサール州(R)の頭文字とケソン州(ZON)の末尾の文字をあわせた造語である。このうち、特に、マニラ首都圏の南に位置するカビテ、ラグナ、バタンガスの3州にPEZA(フィリピン経済区庁)登録の日系製造業の立地が集中している。

 従来からインフラ整備が遅いと指摘されるフィリピンだが、2008年にSTAR(Southern Tagalog Arterial Road)、2011年にMetro Manila SkywayとManila-Cavite Expresswayという高速道路が開通し、この3州にある主要なPEZA工業団地へのアクセスは以前より大幅に改善されている。主要なPEZA工業団地のうち、日系製造業が比較的多い工業団地ではファーストフィリピン工業団地やリマ工業団地のように、現地に日本人社員を常駐させて勢力的に新規日系進出企業の受け入れをしているところもある。

 マニラ首都圏から北側にある主要な経済特区はクラークとスービック。それぞれCDC(クラーク開発公社)、SBMA(スービック港都市開発庁)が運営している。韓国系、台湾系の企業が多く、日系企業の数は少ない。スービックではSBMAと日系企業の間でCUSA(土地共益費)に関する訴訟が行われている。この問題は当初、進出する際には条件になかったCUSAをある日、突然SBMAが立地企業に対して課したことに始まる。日比EPAビジネス環境整備小委員会の場で、「ゲームの途中でルールを変えないで欲しい」と関係者が再三に渡ってフィリピン政府側に訴えているが、一向に進展する気配がない。

 CUSA問題のSBMAのみならず、フィリピン国内の地方都市は江戸時代さながら州知事、市長、地元選出国会議員等地元有力者の意のままに制度のみならず、法の解釈・運用が変更されることがある。中央政府のコントロールが及ばないので、一度、紛争を抱えると解決までに非常に長い時間と労力をかけることになる。海外事情に長けた企業でもない限り、進出の難易度は相当高いのが実情だ。それゆえ、当所では新規製造業の進出に際しては、PEZAエリアへの進出をお勧めしている。

 PEZAのデ・リマ長官は4人の大統領に19年間仕えてきたフィリピン政府内でも稀有な存在である。「汚職はクビ」等統制が非常に効いた組織で、日系企業が抱える問題にもトップ自ら陣頭指揮を取る。日本政府から旭日重光章を受章した親日家で日系製造業幹部からの評価は非常に高い。』(日本商工会議所ウエブサイト・ニュースラインより)。