比パナソニック純利益倍増、13年度1.6億ペソに

2014/07/14

窓用エアコン25%増収、扇風機12%増収、洗濯機4%増収

 

 パナソニックのフィリピン拠点であるパナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズ(PMPC、会計期末3月)が、2013年度年次報告書を提出した。2013年度の事業動向などは以下のとおり(株主総会通知に記載された速報は6月9日付けフィリピン経済・金融・投資情報に掲載)。



パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズ業績推移(単位::万ペソ)

項目 2011年度
2012年度 2013年度
2013年度伸び率
純売上高 594,273
640,939 659,639
2.9%
総利益 142,356 168,913 173,238 2.6%
税引前利益 8,712 16,247 20,152 24.0%
所得税費用 2,902 7,862 3,947 -49.8%
純利益 5,810 8,384 16,205 93.3%
1株当たり純利益 0.14 0.20 0.39 95.0%


パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズ製商品別売上構成比

製品 2011年度
2012年度 2013年度
冷蔵庫 27.8%
29.1% 27.8%
エアコン 30.4% 29.1% 30.4%
テレビ 5.0% 1.6% 5.0%
洗濯機 10.3% 10.0% 10.3%
その他&輸出 26.5% 30.2% 26.5%
合計 100.0% 100.0% 100.0%


 PMPCの2013年度の売上高は前年同期比2.9%増の65億9,639万ペソとなった。昨年11月の超大型台風30号(フィリピン名:ヨランダ)という大きなマイナス要因があったが、堅調なフィリピンの内需、PMPCの販売促進効果、販売代理店の拡販努力などにより増収となった。

  現地生産品の売上高は同9%増加、一方、テレビなどの輸入品販売は同3%減にとどまった。製品別では、ウインドエアコンが前年度比25%増、フリーザーが同18%増、扇風機が同12%増、洗濯機が同4%増、冷蔵庫は同横ばいであった。輸出は同4%減のにとどまった。輸出比率は12.2%で前年度の13.5%から低下した。

 損益面では、ペソ安にともなう輸入原材料費上昇などで、原価率が前年同期の73.6%から73.7%へと僅かながら上昇、総利益は同2.6%増の17億3,238万ペソにとどまった。しかし、一般管理費を同0.4%減の6億5,088万ペソに抑制したことなどにより、税引前利益は同24%増の2億0,152万ペソへと二桁増加となった。そして、税金費用が49.8%減少したことで純利益は同93.3%増の1億6,205万ペソへと大幅増加した。1株当たり純利益も同95%増の0.39ペソへと大幅増加した。

 部門別の動向に関しては、主力の消費者製品(家電・AVなど)の売上高が同4.1%増の61億6,875万ペソ(構成比93.5%)に達した。しかし、その税引前利益は同43.3%減の1億5,517万ペソへと二桁減少した。一方、ビジネス関連製品(通信・セキュリティー関連機器など)の売上高は同9.1%減の3億5,485万ペソ(構成比5.4%)、税引前利益は同84.8%減の298万ペソと低調であった。

 消費者製品、ビジネス製品ともに税引前利益は大幅減少したが、その他部門の税引前損益が4,338万ペソへと急改善(前年は1億3,092万ペソの赤字)したことなどで、全体の税引前利益は二桁増加、純利益はほぼ倍増となった。主力部門が伸び悩みなどの問題はあるが、パナソニックはフィリピンでも復調傾向であると言えよう。
 

PMPCの2013年度主要部門の売上高・損益動向(単位:万ペソ)

部門 GCMS(消費者製品) SNC(ビジネス製品) その他 総合計
主要製品 家電・AV等 通信・安全機器等 エコ、ショーケース等 全商品
売上高 616,875 35,485 7,280 659,639
前年同期比 4.1%増加 9.1%減少 20.5%減少 2.9%増加
構成比 93.5% 5.4% 1.1% 100.0%
       
税引前損益 15,517 298 4,338 20,152
前年同期比 43.3%減少 84.8%減少 黒字転換 24.0%増加
前年同期実績 27,380 1,959 -13,092 16,247

GCMSとはグローバル・コンシューマー・マーケティングセクターの略
SNCとはシステム・ネットワーク&コミュニケーションの略

 なお、パナソニックのフィリピンにおける製造・販売拠点であるPMPCは、フィリピン初の日系合弁家電企業であり、長い歴史を有している。

 PMPCの起源は、1963年5月に設立されたフェスティバル・マニュファクチャリング(FMC)である。FMCは1965年に、プレシジョン・エレクトロニクス(PEC)と社名変更した。このPECと松下電器産業(MEI、社名は当時)が1967年にフィリピンで合弁家電企業を設立した。当初、合弁企業名はPECだったが、25年後の1992年にマツシタ・エレクトリック・フィリピン(MEPCO)と変更された。さらに、2005年に現社名PMPCへと再変更された。すなわちパナソニックは、フィリピンで45年以上もの長い歴史を有していることとなる。
 
  この間、フィリピンで初めての非水銀電池やフロンガス不使用の冷蔵庫の生産、家電メーカーとして初めてとなるISO9002、ISO14001認証取得など輝かしい成果を上げてきた。また、フィリピン家電業界をリードする一方、社会貢献活動やパナソニックの「アジア大洋州エコアイディア宣言」に沿った環境保全活動なども推進している。
 
 1983年1月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。現在、PMPCは額面1ペソの普通株式を約4億2,272万株発行している。そのうち、フィリピン人のみが投資可能なA株8,472万株が上場されている。浮動株比率は15.76%となっている。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は、2014年6月末時点で79.96%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCのB株である。

 PMPCのPSEでの7月14日終値は3.37ペソ。この1年間の高値は6.75ペソ、安値は3.37ペソである(パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズの2013年度年次報告報告書などより)。