自動車部品のカサイ製作所、フィリピン進出

2014/06/30

バタンガス州でドアミラースイッチなど製造
JBICと三井住友銀行が協調融資で創業支援

 

国際協力銀行(JBIC)は、6月30日、「海外展開支援融資ファシリティ」の一環として、カサイ製作所(本社:愛知県北名古屋市)との間で融資金額350万米ドル(JBIC分)の貸付契約を締結した。この融資は、三井住友銀行との協調融資によるものである。



 この案件は、カサイ製作所がフィリピンのバタンガス州に自動車用ドアミラースイッチ等のプラスティック樹脂成形部品の製造・販売事業を行うKASAI ADVANCED MFG. PHILIPPINES INC. (KAMP)創業に必要な資金を融資するものである。

 カサイ製作所は、自動車用電装部品の製造・販売を手掛ける樹脂製品メーカーであり、新興国の経済成長を背景に自動車の需要拡大が見込まれる中、2014年3月にKAMPを設立し、フィリピンを拠点に日系自動車メーカー等向け製造・販売を通じて新興国での事業拡大を企図している。今回の融資は、カサイ製作所の海外事業展開への支援を通じて、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献するものである。

 カサイ製作所は1957年の創業以来、自動車用スイッチなどの製造にたずさわり、自動車産業の一翼を担ってきた。国内の製造拠点として、本社工場のほか、愛知県に一宮工場、平島工場、千秋工場を有している。そして、自動車用各種スイッチ、自動車用ワイヤーハーネス、電気器具用ワイヤハーネス、精密プレス加工部品、工業用精密射出成形部品、自動組立機、省力化機器などの製造を行っている。年間売上高は98億円(2012年度)である。

 なお、JBICの「海外展開支援融資ファシリティ」とは、2013年3月末に期限を迎えた「円高対応緊急ファシリティ」の支援対象分野を拡充上、発展的に改編したものである。JBICは、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」(2013年1月11日閣議決定)を踏まえて設置した「海外展開支援出資ファシリティ」とあわせ、日本企業の海外展開を支援する「車の両輪」として、海外M&Aやインフラ、資源案件等への長期資金供給を通じて、中堅・中小企業を含む日本企業の海外展開を積極的に支援していく。

 JBICは、今後も、日本の公的金融機関として、様々な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じて、フィリピン等の成長市場における中堅・中小企業を含む日本企業の海外事業展開を支援していく方針である(14年6月30日の株式会社国際協力銀行プレスリリースなどより)。