ジョリビー・フーズ、新たな歴史の幕開け

2014/06/29

創業者トニー・タン氏、社長とCEOから退任
時価総額でアジア最大のレストランチェーンに
ゼンショーや日本マクドナルドを大幅に上回る

フィリピンでは、ハンバーガーのジョリビーが、国民食とまで称されるほどの圧倒的な支持を得ている。マクドナルドがハンバーガー市場でトップになれない唯一の主要国がフィリピンでもある。


 ジョリビーのフィリピンの外食ハンバーガー市場でのシェアは50%と推定される。2014年3月末のフィリピン国内店舗数もジョリビーが828店で、フィリピン・マクドナルドの412店の2倍強に達している。
 
 

 ジョリビーはフィリピン最大のファストフード企業ジョリビー・フーズ(JFC)によって運営されている。JFCは現会長兼社長兼CEOであるトニー・タン・カクティオン氏(トニー・タン氏)がアイスクリーム販売で起業、1978年1月にJFCを創設、一代でJFCをフィリピン最大のファーストフード・チェーンに育て上げた。そして、1993年7月にはフィリピン取引所(PSE)へ上場させるに至った。

 トニー・タン氏は、2004年のフィリピン初代年間最優秀起業家(アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー)に選出された。そして、2004年5月のモナコ・モンテカルロでの世界アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー(EOY)大会において2004年の世界アントレプレナー・オブ・ザ・イヤーに選出されたという経緯がある。

 このように、国内ではマクドナルドを圧倒し海外展開も成功させているJFCの会長兼社長兼CEOであるトニー・タン氏(60歳)は、フィリピンを代表する起業家という評価のみならず、フィリピンを代表する優秀な経営者の一人として評価されるに至っている。

 このトニー・タン氏が、6月27日のJFC株主総会直後の取締役会において、6月30日付けで社長とCEO職から退くことが決定された。トニー・タン氏は7月以降も会長職にはとどまるが、新社長兼CEOとして、弟のアーネスト・タンマンティオン氏(56歳)が選出された。タンマンティオン氏は、1978年、JFCのストア・マネージャーとして入社、その後、JFCの多くのブランドを育て上げ、ついに社長兼CEOに上りつめることになった。

 2014年3月末のJFCのフィリピン国内店舗数は2,217店に達している。内訳はハンバーガーのジョリビー828店、中華のチャウキン405店、ピザ のグリーンウイッチ202店、ケーキ・ベーカリーのレッドリボン287店、鶏肉・バーべキュ-のマン・イナサル460店、バーガー・キング35店となっている。
 一方、海外店舗数は588店舗。そのうち、中国ではファースト・フードチェーンのYongheキング(永和大王) が316店、粥チェーンの宏状元餐が43店、華南の牛肉麺チェーン三品王45店などとなっている。これらを含むジョリビーフーズ・グループ 国内外総店舗数は2,805店舗に達している。

 このJFCが目標としてきたのが、日本のゼンショー・グループ(東京都港区)である。2014年5月末のゼンショー・グループの店舗数は国内4,546店、海外248店、合計4,794店に達している。国内店舗は牛丼のすき家1,993店、なか卯479店のほか、 ココス482店、ビッグボーイ282店、ジョリーパスタ219店舗、焼肉の宝島37店、はま寿司316店などである。中国でもすき家を65店展開している。

 JFCは昨年にも、2015年までに店舗数でゼンショー・グループを上回り、アジア最大のレストラン・チェーンとなることを目指すと表明した。上記のように、総店舗数ではまだ差があるが、海外店舗数ではゼンショーの約2.4倍となっている。
 
 そして、株式市場の先週末(6月27日)の時価総額は、ゼンショー・ホールディングスの約1,523億円に対し、JFCは約1,867億ペソ、円換算すると約4.300億円で約2.8倍となっている。すなわち、時価総額では既にアジア最大のレストラン・チェーンとなっている。ちなみに、日本マクドナルドの時価総額は3,782億円である。

 トニー・タン氏も株主総会の席上で「JFCは時価総額ではアジア最大のレストランチェーン、世界第2位のファーストフード・レストランチェーンとなった。今後は、米国や中国等海外での事業をさらに拡大させ、海外事業比率を50%に高めたい」と表明した(14年6月27日のフィリピン証券取引所回覧03514-2014号より)。