フィリピン技術技能教育庁で和食教育が開講

2014/06/29

フィリピンの技術的な職業教育とトレーニングを実施する技術技能教育庁(TESDA)の女性センター(首都圏タギグ市)は、日本のABCクッキングスタジオ(本社:東京都千代田区)の協力を得て、6月16日に、「和食教育プログラム」(無料)を開講した。ABC クッキングスタジオは、和食のプログラムの提供と講師を派遣。



 TESDAの「和食教育プログラム」は、フィリピンにおける女性の自立支援、帰国OFW(海外フィリピン人就労者)の新たな就職支援、和食の普及などを目的としている。まずは初級編として5日間(40時間)のプログラムとなっており、「和食」の正しい知識と味を正確に再現できるよう、料理教室の運営を通じて蓄積してきた料理講師の育成とノウハウを生かし、講師のデモンストレー ションと実習を組み合わせた授業スタイルとなっている。

 そして、基本の和食を中心に日本の食材・ダシなどの日本食の知識やメニューを全部で20品ほど身につける。また、履修したメニューは出来上がりをA4サイズの写真におさめ、一冊のアルバムを作成する。これは、自身の和食に関するスキルを明確にアピールできる“自己プロモーションツール”にすることを目的としていて、プログラム修了後、仕事を探す際に役立てられるようにする。

 現地で和食を教えるのは、日本から派遣するABCの講師に加え、ABCで研修を受けたボランティアメンバーを中心に構成。日本での研修を受けた後、現地へ赴く。6月16日よりスタートしたプログラムは合計11バッチ(1バッチは5日間)となっている。初回が6月16日~20日、最終回(第11バッチ)が8月25日~29日である。

 受講希望者はTESDAの Ritchie Briagas氏に連絡(電話番号817-2651、Eメールtesdawomen@yahoo.com.)
、登録する、先着順となる。

 なお、「和食教育プログラム」は、ABCクッキングスタジオの創業者である横井啓之氏の海外での経験が発端となっている。“香港のあるレストランで食事をしていると隣のテーブルの外国人が席を立ち、その後そのメイドと思われる女性が人目を気にせず、その主人らが残した食事を一気に頬張り、その場を立ち去ったのである”。

 日本に暮らしているとなかなか感じることのない貧富の差を目の当たりにした横井氏は、香港でハウスメイドとして働く女性の大半がフィリピン出身者であると聞き、自分の培ってきた経験である料理教室のノウハウと海外でも人気の高い「和食」を伝えることで、少しでも彼女たちの付加価値の向上に貢献できるのではと、今回のプログラムに着手することとなった(14年6月27日のTESDAニュースリリースやABC クッキングスタジオのウエブサイトなどより)。