フィリピン人、退職後の生活維持に最も楽観的

2014/06/13

現状維持懸念:比15%、アジア33%、日本49%
定年後の就業意向も48%で最低(アジア60%)

 

マニュライフはこのほど、2014年第1四半期マニュライフ投資意識指数(MISI)を発表した。MISI)は、主な資産クラスや投資手段、定年退職後の投資計画に対する姿勢を測定する独自の調査で、四半期ごとに実施していう。ここでいう資産クラスとは、現金、株式、投資信託、債券、不動産(居住用および投資用)を指している。


 MISI は、日本、香港、中国、台湾、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピンの8 つの市場においてそれぞれ500 人を対象に実施した調査に基づくものである。 今回発表された2014年第1四半期MISIにおいて、アジア全体の指数は前期の22 ポイントから24 ポイントに上昇、対象となったアジア8 つの市場のうち5 つの市場(中国、香港、インドネシア、マレーシア、台湾)では向上したが、日本、シンガポール、フィリピンの3 市場では低下する結果となった。フィリピンの指数は前期の66ポイントから8ポイント低下し58ポイントとなったものの、依然高水準であり、マレーシアと並ぶトップであった。

 また、定年退職後の生活に関しては、フィリピン人が最も楽観的であることが判明した。定年退職後の懸念に関する質問で、10 の懸念項目のうち「退職後、現在の生活水準を維持できないだろう」という項目に対して「とてもそう思う」または「そう思う」と回答した人の割合は、フィリピンは15%に過ぎず、アジア全体の33%を大幅に下回っている。フィリピンに次いで低かったのはインドネシアの23%、台湾の24%、中国の30%であった。最も高かったのは日本の49%で、シンガポールの44%、香港の40%と続く。

 フィリピンは、現在の生活水準自体が低いことから、「退職後、現在の生活水準を維持できないだろう」という懸念が少ないという要素もある(日本など先進国は逆に懸念が高水準)が、退職後の生活に対する楽観度はアジアで断トツである。「子供からの経済的援助を期待できない」という懸念に関しても、フィリピンは13%と最も低く、アジア全体の32%を大幅に下回っている。フィリピンで懸念が多かったのは「加齢による健康状態の悪化」60%(アジア全体で64%)、遺された家族への財産の準備」69%(アジア全体で57%)であった。

 また、定年退職後の就業については、フィリピンではフルタイムまたはパートタイムで働くことを想定している回答者が48%と最低で、アジア全体の60%をかなり下回っている。これは、「退職後、現在の生活水準を維持できないだろう」という懸念が最も低かったことの反映ともいえよう。

 ただし、日本は「退職後、現在の生活水準を維持できないだろう」と懸念が49%と最高であった、すなわち最も悲観的であるにもにもかかわらず、定年退職後の就業を想定している比率は49%でフィリピンの48%に次ぐ低さであった。これは、日本人の定年退職後の就業意欲が低いからではないし、就業の必要性を強く感じているにもかかわらず、定年退職後の就業機会の有無や健康の面で働き続けられるかといった不安が反映されているものと推察される(14年6月6日のマニュライフ生命保険株式会社ニュースリリースなどより)。