パナソニック、フィリピンの13年度業績急向上
2014/06/08
純利益倍増の1.6億ペソ、営業利益24%増の2億ペソ
パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズ(PMPC、会計期末3月)は、6月20日17時から年次株主総会を開催する。開催場所は、リサール州タイタイのPMPC本社オーデトリアム・ビルディング。その株主総会通知に記載されている2013年度(2013年4月~2014年3月)決算の内容は以下の通り。
PMPCの2013年度の売上高は前年同期比2.9%増の65億9,639万ペソとなった。昨年11月の超大型台風30号(フィリピン名:ヨランダ)という大きなマイナス要因があったが、堅調なフィリピンの内需、PMPCの販売促進効果、販売代理店の拡販努力などにより増収となった。特に上半期(4月~9月)にウインドー・エアコンの売り上げが好調であった。
損益面では、ペソ安にともなう輸入原材料費上昇などで、原価率が前年同期の73.6%から73.7%へと僅かながら上昇、総利益は同2.6%増の17億3,238万ペソにとどまった。しかし、一般管理費を同0.4%減の6億5,088万ペソに抑制したことなどにより、営業利益は同24%増の2億0,152万ペソへと二桁増加となった。そして、税金費用が49.8%減少したことで純利益は同93.3%増の1億6,205万ペソへと大幅増加した。1株当たり純利益も同95%増の0.39ペソへと大幅増加した。
主要部門の動向に関しては、主力の消費者製品(家電・AVなど)の売上高が同4.1%増の61億6,875万ペソ(構成比93.5%)に達した。しかし、その営業利益は同43.3%減の1億5,517万ペソへと二桁減少した。一方、ビジネス関連製品(通信・セキュリティー関連機器など)の売上高は同9.1%減の3億5,485万ペソ(構成比5.4%)、営業利益は同84.8%減の298万ペソと低調であった。
消費者製品、ビジネス製品ともに営業利益は大幅減少したが、その他部門の営業損益が、4,338万ペソへと急改善(前年は1億3,092万ペソの赤字)したことなどで、全体の営業利益は二桁増加、純利益はほぼ倍増となった。主力部門が伸び悩みなどの問題はあるが、パナソニックはフィリピンでも復調傾向であると言えよう。
PMPCの2013年度主要部門の売上高・損益動向(単位:万ペソ)
部門 | GCMS(消費者製品) | SNC(ビジネス製品) | その他 | 総合計 |
主要製品 | 家電・AV等 | 通信・安全機器等 | エコ、ショーケース等 | 全商品 |
売上高 | 616,875 | 35,485 | 7,280 | 659,639 |
前年同期比 | 4.1%増加 | 9.1%減少 | 20.5%減少 | 2.9%増加 |
構成比 | 93.5% | 5.4% | 1.1% | 100.0% |
営業損益 | 15,517 | 298 | 4,338 | 20,152 |
前年同期比 | 43.3%減少 | 84.8%減少 | 黒字転換 | 24.0%増加 |
前年同期実績 | 27,380 | 1,959 | -13,092 | 16,247 |
GCMSとはグローバル・コンシューマー・マーケティングセクターの略
SNCとはシステム・ネットワーク&コミュニケーションの略
なお、パナソニックのフィリピンにおける製造・販売拠点であるPMPCは、フィリピン初の日系合弁家電企業であり、長い歴史を有している。
PMPCの起源は、1963年5月に設立されたフェスティバル・マニュファクチャリング(FMC)である。FMCは1965年に、プレシジョン・エレクトロニクス(PEC)と社名変更した。このPECと松下電器産業(MEI、社名は当時)が1967年にフィリピンで合弁家電企業を設立した。当初、合弁企業名はPECだったが、25年後の1992年にマツシタ・エレクトリック・フィリピン(MEPCO)と変更された。さらに、2005年に現社名PMPCへと再変更された。すなわちパナソニックは、フィリピンで45年以上もの長い歴史を有していることとなる。
この間、フィリピンで初めての非水銀電池やフロンガス不使用の冷蔵庫の生産、家電メーカーとして初めてとなるISO9002、ISO14001認証取得など輝かしい成果を上げてきた。また、フィリピン家電業界をリードする一方、社会貢献活動やパナソニックの「アジア大洋州エコアイディア宣言」に沿った環境保全活動なども推進している。
1983年1月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。現在、PMPCは額面1ペソの普通株式を約4億2,272万株発行している。そのうち、フィリピン人のみが投資可能なA株8,472万株が上場されている。浮動株比率は15.76%となっている。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は、2014年4月末時点で79.96%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCのB株である。
PMPCのPSEでの直近株価は3.75ペソ。この1年間の高値は6.75ペソ、安値は3.75ペソである(パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズの2014年株主総会通知などより)。