フィリピンのオフィス賃貸料、一段と上昇へ

2014/05/12

マカティ高級物件、1年間で約5%上昇見込み
平米930~1,290ペソに:コリアーズ予想

 

 世界中のマーケットにおいて総合的な不動産の コンサルティング業務を行っているコリアーズ・インターナショナル(コリアーズ)が、フィリピン不動産市場概観2014年第1四半期(1~3月)動向及び今後の見通しを発表した。

 マニラ首都圏内で、2014年に市場に放出される予定の新オフィスストック(オフィス延べ床面積)は、合計約45万平米で、そのうちの55%がオルティ ガスセンターとボニファシオ・グローバル・シティ(BGC、旧フォートボニファシオ)に集中している。14年第1四半期に、新たに4つのオフィスビルが完 成した(合計7万5,000㎡)。これらは、サイバーポッド・セントリスのノース・タワー(2万6,190㎡)&サウス・タワー(2万7,840 ㎡)、シティネット1(5,720㎡)、Vコーポレートセンター(1万5,290㎡)で、全てBPO(業務受託)ビジネス向けである。

 マカティ中央ビジネス区(CBD)では開発可能な土地不足で、オフィスストックは284万平米止まりであったが、年内にはレガスピ・ビレッジ地区のフラ ベリェ・ラガスピ・ビル(Frabelle Legazpi- 7,510㎡)が市場に出回り、オフィスストックは285万平米に留まる見通し。


 オフィス需要に関しては、マカティCBD全般の空室率は、賃貸契約を更新しないケースに新規供給が重なって、結果的に前期より1.9% ポイント増えた。プレミアム物件はスエリグ・ビル(Zuellig)で賃貸契約途中解約が発生し、空室率が前期より上昇した。同様にAクラス物件の空室率 も上昇。一方、Bクラス・Bクラス以下物件の空室率は、Vコーポレートセンターの完成により3.8%に跳ね上がった。空室率は上昇したがコリアーズは依然 オフィス需要が高いと想定している。

 マカティCBDのオフィス月間賃貸料は、利用可能なストックに対する競争の激化の影響で、値上がった。プレミアム物件の平均賃貸料は前期比1.4%増の 1,058ペソ/平米であった。コリアーズは、今後12カ月間(15年第1四半期)にプレミアム物件で5.0%、A・Bクラスで6.0%、5.3%超上昇 すると予想している(14年5月12日のコリアーズ・フィリピンズ発表より)。

マカティCBDオフィス平米当たり月間賃貸料(単位:ペソ/ ㎡)

物件タイプ 13年Q4 14年Q1 対前期伸び率 15年Q1(予) 年間変化率予想
プレミアム 880~1,205 890~1,225 1.4% 930~1,290 5.0%
Aクラス 605~950 610~970 1.5% 650~1,025 6.0%
Bクラス 470~645 475~655 1.4% 500~690 5.3%



マカティCBDオフィス空室率

物件タイプ 13年Q4 14年Q1 15年Q1(予)
プレミアム 1.6% 1.9% 1.4%
Aクラス 6.6% 7.2% 5.3%
Bクラス以下 1.0% 3.8% 3.3%
全クラス 2.3% 4.2% 3.4%



マニラ首都圏のオフィスストック&新規供給予想(単位:㎡)

地区 13年末総面積 14年供給 15年供給 16年供給 合計
マカティCBD 2,827,865 22,802 - - 2,850,668
オルティガス 1,160,350 124,809 75,072 17,378 1,377,609
BGC 907,397 69,529 75,444 248,075 1,300,445
イーストウッド 300,264 - - - 300,264
アラバン 305,718 69,210 - 18,000 392,928
その他 972,649 165,443 211,737 122,649 1,472,478
合計 6,474,243 451,794 362,253 406,102 7,694,392

(その他:マニラ、パサイ、マンダルーヨン、ケソン市、BGC=ボニファシオ・グローバルシティ)


マカティCBDオフィス資本価値(利用可能エリア)(単位:万ペソ/㎡ )

物件タイプ 13年Q4 14年Q1 対前期伸び率 15年Q1(予想) 年間変化率予想
プレミアム 13.6~14.3万 13.8~14.5万 1.2% 14.5~15.2万 4.7%
Aクラス 7.5~10.4万 7.6~10.6万 1.4% 8.0~11.2万 5.9%
Bクラス 5.3~7.2万 5.4~7.3万 1.2% 5.7~7.6万 4.7%

(上記の表は全てコリアーズ・インターナショナル資料より作成、予想も同社によるもの)