住友金属鉱山、今年度ミンダナオに53億円投資

2014/05/09

タガニート・プロジェクト建設費(総額約1,600億円)
ニッケル生産能力増強、非鉄メジャー入り目指す

 

住友金属鉱山(住友鉱)は、5月9日に 2014年度の住友鉱グループの設備投資・投資予定額を発表した。



 それによると、住友鉱の2014年度設備投資・投資予定額は前年度比2%減の655億円。大型設備投資案件としては以下を予定している。

① モレンシー銅鉱山拡張プロジェクト 91億円(総額 2億6,000万米ドル)
② ミンダナオ島タガニートプロジェクト建設費 53億円(総額15億9,000万米ドル)
③ ニッケル酸リチウム増強 31億円(総額 48億円)
④ 電気ニッケル増強 13億円(総額 140億円)
⑤ 硫酸ニッケル増強 5億円(総額 60億円)
⑥ 菱刈鉱山下部鉱体開発 4億円(総額 32億円)

 世界のニッケル資源の確保には、低品位鉱石からのニッケル分の回収が必須となっているが、HPAL(High Pressure Acid Leach:高圧硫酸浸出)法は、これまでニッケル分の回収が困難であった低品位のニッケル酸化鉱からニッケルやコバルトを回収する技術であり、住友金属鉱山はこの技術分野において現在世界のトップランナーとなっている。
 
 住友金属鉱山は、2005年4月にフィリピン・パラワン島のCBNC(コーラルベイ・ニッケル社、社長:藤村隆則氏)において、このHPAL技術を用いた本格生産を開始し、その後世界ではじめて計画通りの商業生産を成功させた。また、この成功をもとに2009年4月にはCBNC における第2工場の垂直立ち上げを完了し、同社の生産能力を年間1万トンから2万2千トン(ニッケル量換算)へ増加させた。

 このような実績を背景として、住友金属鉱山はHPAL技術を用いたタガニート・プロジェクトを推進し、年産約6万5千トンのニッケル生産能力を同10万トンとすることにより、世界トップクラスのニッケル製錬メーカーの地位を確固たるものにするとともに、従来から戦略目標としている「非鉄メジャークラス」入りに向けて邁進していく方針である。

 タガニート・プロジェクトにおいては、住友鉱傘下のタガニートHPAL社(THPAL、本社:首都圏マカティ市)がミンダナオ島北東部タガニート地区にて、ニッケル・コバルト混合硫化物( ニッケル品位約57%)を年間3万トン(ニッケル量換算)生産する。
 
 THPALの資本金は40億9,500万ペソ、出資比率 は住友金属鉱山 62.5%、ニッケル・アジア22.5%、三井物産15%となっている(14年5月9日の住友金属鉱山株式会社ニュースリリースなどより)。