フィリピン、知的所有権監視対象国から除外

2014/04/29

米通商代表部発表、20年間の監視指定に終止符

 

 米国通商代表部(USTR)は4月28日に、特別301条監視国リストからフィリピンを21年ぶりに除外したと発表した。USTRは毎年、301条項に基づき世界各国の知的所有権保護の運用状況等を調査、米国の知的所有権の保護が十分でない国を特定し改善を促している。



 USTRは、悪質な行為、ポリシー、または慣行などにより米国製品に最も悪影響を与えている、もしくは与える可能性を有する貿易相手国を「最優先監視対象国」と指定している。また、知的所有権保護のための努力は行っているが、依然十分ではない貿易相手国を「普通監視国」として指定している。

 フィリピンは、1984年に初めて監視国指定された。そして、1994年から2013年まで20年間連続で監視国指定されてきた。2005年までは優先監視対象国、2006年からは普通監視対象国となっている。そして、2014年は、21年ぶりに監視国リストからの除外となった。

 USTRは近年、フィリピンに関して「知的所有権保護のための規制や法整備は急ピッチで進展してきている」と評価するようになった。改善例として、2012年に長年の懸案であった世界知的所有権機関(WIPO)インターネット条約完全履行のための法整備が行われこと、2010年の映画館でのビデオ撮影禁止法案成立により映画館経由での海賊版映像作成が大幅減少していること、知的所有権訴訟手続き迅速化などが図られていることなどが挙げられた。

 したがって、2013年には、フィリピンが監視国リストから除外されるとの期待が大きく高まった。しかし、USTRは「フィリピンは依然として、オンライン取引など多くの手段により海賊版映像や偽造品の入手が可能な状況である。知的所有権保護のための規制や法律の実際の運営上での非効率さの改善が求められる状況でもある」と指摘、普通監視国リストに据え置いたという経緯がある。

 2014年についても、USTRは「フィリピンは監視国リストからは除されたが、依然、改善すべき課題が残されている。USTRとフィリピンはこれらの課題克服に向けて協力していく」とコメントした(13年4月28日の米国通商代表部発表などより)。