ASEAN対日世論調査、将来も日本を最重要視
2014/04/20
安保理常任理事国入り、81%が同意(比では87%)
「積極的平和主義」有益との回答89%(比では96%)
日本外務省は、IPSOS香港社に委託して、今年3月に,ASEAN7ヵ国(フィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナム、ミャンマー)において対日世論調査(各国において18歳以上の識字層約300名、合計2,144人を対象にオンライン方式で実施)を行った。その結果概要は以下のとおりである。
1 日本との関係については,9割以上が「友好関係にある」又は「どちらかというと友好関係にある」と回答し、同じく9割以上が日本を友邦として「信頼できる」又は「どちらかというと信頼できる」と回答しており、日本との関係に関し肯定的なイメージが広範に定着していることが示された。さらに、米国、中国等11ヵ国の中で「最も信頼できる国」として日本を選択した割合は全体で33%であり、11ヵ国の中でトップであった。2位は米国の16%、3位は英国の6%、4位が豪州と中国の5%であり、日本への信頼度が群を抜いている。
フィリピンでは「最も信頼できる国」として米国を選択した比率が41%と非常に高く、日本の31%を上回った。日本という選択がトップでなかった唯一の国とはなったが、米国との長い歴史的なつながりを反映した結果であり、日本を選択した比率が決して低いわけではなくASEAN7カ国全体の33%に近い水準である。一方、日本を信用に値しないとの回答比率は僅か1%で7カ国中最少であった。
2.ASEAN諸国にとって現在重要なパートナーはどの国かとの質問(複数回答方式)については、アジアや欧米の主要11ヵ国の中で日本(65%)、中国(48%)、米国(47%)の順で評価された。また,将来重要なパートナーはどの国かとの質問については、日本(60%)、中国(43%)、米国(40%)の順で評価された。
フィリピンで、「ASEAN諸国にとって現在重要なパートナー」として選択された比率は、日本の76%がトップで、2位米国の65%、3位韓国の54%、4位豪州の45%、5位英国の40%と続く。また、日本を選択した比率76%はベトナムの77%に次いで高かった。一方、将来重要なパートナーに関しては、日本の64%がトップで、2位米国の56%、3位豪州の46%、4位英国の45%、5位韓国の43%と続く。
3.「積極的平和主義」について、ASEANを含むアジア地域の平和構築に有益と回答した者が89%を占めた。フィリピンでの有益との回答比率は96%でASEAN7カ国で最高、そのうち非常に有益との回答比率も69%で最高であった。
4.日本の国連安保理の常任理事国入りについては全体の81%が同意している。フィリピンでの同意という回答率は87%で、ベトナムの91%、タイの89%に次いで3位であった。以下、ミャンマーの85%、マレーシアの77%、インドネシアの76%、シンガポールの66%と続く。
5.日本に関するイメージについては、7ヵ国全体で、回答の多い順に「科学技術が発達した国」(81%)、「経済力の高い国」(62%)であり、最先端の科学技術立国、豊かな先進国といったイメージが強いことが示された。また、同じく2位「自然の美しい国」(62%)、3位「豊かな文化を有する国」(59%)、4位「アニメ、ファッション、料理等新しい文化を発信する国」(44%)との回答に見られるとおり、美しい国土や日本文化(伝統及び現代文化)に対する高い関心も示された。日本についてもっと知りたい分野としては、「科学・技術」(58%)の他、「日本人の生活・ものの考え方」(56%)、「食文化」(53%)が上位を占めた。
フィリピンで回答率が高かったのは、「技術的に進んだ国」85%、「経済的に進んだ国」78%、豊かな文化の国」69%、「「自然の景色が美しい国」68%、「アニメ、ファッション、料理等新しい文化を発信する国」68%、「平和な国」48%などであった。「平和な国」という回答率48%は、ASEAN7カ国中最高であった。
6.アジアの発展に対する日本の積極的役割に対する肯定的な回答は全体で92%を占め、政府の経済・技術協力が役立っているとの肯定的な回答が89%、日本企業の進出に対する好意的な回答は95%であった。また、ASEAN地域で日本に最も貢献してほしい領域は「経済・技術協力」、「貿易・民間投資の振興」が上位を占め、日本の国際貢献の特に経済的な側面に関し高い評価と期待が示された。
アジアの発展に対する日本の積極的役割に関して、フィリピンでは「非常に積極的な役割を果たしている」という回答率が65%でASEAN7カ国で最高であった。日本企業のASEAN市場への進出に対する歓迎の度合いは「とても歓迎する」が85%でASEAN7カ国で最高であった。「やや歓迎する」の15%を加えた「歓迎」は100%、すなわち、「歓迎しない」はゼロであった。
7.なお、ASEAN地域においては、対日世論調査を過去7回(1978年、83年、87年、92年、97年、2002年、2008年)実施している(14年4月18日の日本外務省発表より)。