住友鉱出資のニッケル・アジア、出荷量52%増加
2014/04/12
ミンダナオ島タガニート鉱山の戦力化などで急増
インドネシアの鉱石輸出禁止措置で市況も反発
フィリピンの有力ニッケル鉱山会社であるニッケル・アジア・コーポレーション社(ナック社)の2014年第1四半期(1~3月)の出荷量は前年同期比52%増の265万トンへと急増した。
出荷量急増は、2013年後半からミンダナオ島タガニート鉱山の操業が開始されたこと、ニッケル有力産出国のインドネシアが、2014年年初に未加工の鉱石輸出禁止措置を発動したことなどによるものと見られる。
インドネシアの輸出禁止措置により、最近のニッケル市況は昨年下半期からは反発傾向にあるが、昨年第1四半期との比較では低水準で推移した。したがって、出荷額は前年同期比21%増の14億5,000万ペソと二桁増加ながら、数量の伸びとくらべると低い伸びであった。
ちなみに、第1四半期のニッケル鉱石出荷量のうち、200万トンがロンドン金属取引所(LME)での国際市況に連動していた。LME市況連動分の1パウンド当たり平均出荷価格は6.59米ドルで、前年同期の7.82米ドルから16%下落した。
一方、中国向けなどの中低位ニッケル鉱石65万トンの販売価格はLME市況に連動しておらず交渉ベースで決定された。この交渉ベース販売での1トン当たり出荷価格は19.93米ドルで前年同期の22.71米ドルから約12%低下した。
今後もタガニート鉱山の本格寄与、インドネシアの輸出禁止措置などによる市況反発効果の一層の顕在化などで、ナック社の出荷額は順調に増加しそうである。
なお、ナック社は世界有数のニッケル資源国であるフィリピンにおいて、最大規模のニッケル鉱石生産を行う鉱山会社である。そして、住友金属鉱山の重要な 戦略パートナーである。ナック社傘下には、住友金属鉱山のフィリピン子会社であるコーラルベイ・ニッケル社(CBNC)へ出資するとともにニッケル鉱石を 供給しているリオツバ・ニッケル・マイニング社がある。
住友金属鉱山は2009年8月にナック社に資本参加した。2013年12月末時点で、100%子会社である住友金属鉱山フィリピン・ホールディングス (SMMPH)を通じて、ナック社株式約19.13%(個別株主名が明示されている分)を保有している(14年4月11日のフィリピン証券取引所回覧01775-2014号などより)。