13年の金属鉱物生産額、0.3%増の993億ペソ

2014/04/09

ニッケル類410億ペソ(41%)、金324億ペソ(33%)
住友鉱の比ニッケル事業の寄与度・重要度上昇

 

 

 フィリピン鉱山地勢局(MGB)によると、2013年の金属鉱物生産額は前年比0.3%増の993億3,500万ペソであった。金属市況低下や台風被害の悪影響を生産量の拡大でカバー、小幅ながらプラス成長となった。


 そのうち、ニッケル直接船積鉱石/硫化ニッケルが410億3,700万ペソと生産総額の41.31%を占めた。次いで金が32.66%、銅が22.51%、銀・亜鉛・クロム鉄鉱・鉄鉱石合わせて3.52%。 

 金の生産量が増えたのは豪州系オセアナ・ゴールド・フィリピンズのディディピオ銅金プロジェクト(ヌエバ・ビスカヤ州)の開始やレパント・コンソリデイティッド・マイニングのテレサ金プロジェクト(ベンゲット州)の生産復帰による。

 ニッケルの生産量も、住友金属鉱山(住友鉱)傘下のタガニートHPAL社(THPAL)のタガニート地区(ミンダナオ島スリガオ)でのMS(ニッケル・コバルト混合硫化物)の生産開始などにより堅調であった。

 住友金属鉱山は従来回収困難であった低品位のニッケル酸化鉱からニッケルおよびコバルトを回収する技術であるHPAL(High Pressure Acid Leach =高圧硫酸浸出)の商業生産化に成功し、2005年からフィリピンのコーラルベイ・ニッケル・コーポレーション(CBNC)で、ニッケル中間製品であるMSの生産を行っている。そして、2013年のタガニートHPALでのMS生産開始により、フィリピンでのニッケル事業基盤が一段と強化されるとともに、フィリピンの金属鉱物生産拡大への寄与度を高めつつある。
 
 世界的な需要拡大を受けて、レアメタルやレアアース(希土類)確保の必要性が高まる中、住友鉱のフィリピンのニッケル事業は非常に重要な役割を担っていると言えよう。また、2014年年初にインドネシアが未加工の鉱石輸出禁止措置発動したことで、ニッケル国際市況が反発しているし、ニッケル鉱石供給地としてのフィリピンの重要性が一段と高まっている。

 なお、2013年には、超大型台風30号(フィリピン名:ヨランダ)などの悪天候により、レイテ・アイアンサンド社のレイテ・マグネタイト事業(レイテ州)、カンバヤス・マイニング社のホモンホン・ニッケル事業(サマール州)、ジョンソン・ゴールド・マイニング社のパラカレ金事業(北カマリネス州)、シュレイ・マイニング社/パシフィック・ニッケル・フィリピンズ社のノノック・ニッケル事業(北スリガオ州)、シノスチール・フィリピンズ・HYマイニング社のHYニッケル・クロム事業(ディナガット島)の5事業が操業停止を止むなくされた(14年4月8日のフィリピン鉱山地勢局発表より)。

鉱物類・卑金属の生産量・額(生産額単位:百万ペソ)

品目 単位 2012年 2013年 伸び率%
生産量 生産額 生産量 生産額
貴金属 34,608   33,773   21
  金 kg 14,596 32,721 17,248 32,441 18 -1
  銀 kg 49,211 1,887 40,043 1,332 -19 -29
卑金属 64,429   65,562   2
 銅精鉱 DMT 268,046 15,546 376,106 22,358 40 44
 硫化ニッケル DMT 41,383 11,158 45,624 11,469 10 3
 ニッケル直接船積鉱石 DMT 25,134,007 34,875 25,488,945 29,567 1 -15
 クロム鉄鉱 DMT 36,628 221 26,164 175 -29 -21
 亜鉛 DMT 40,205 792 37,252 697 -7 -12
 鉄鉱石 DMT 1,148,232 1,837 793,130 1,295 -31 -30
合計 - - 99,037 - 99,335 - 0.3

(出所:フィリピン鉱山地勢局資料より)