13年末のペソ建て社債残高、12%増の6千億ペソ

2014/03/23

首位アヤラランド499億ペソ、2位サンミゲル・ビール
ADBが「アジア債券モニター」2014年3月号発表

 

 アジア開発銀行(ADB)が、東アジア債券市場の動向に関する報告書「アジア債券モニター」(ABM)最新版の2014年3月号(2013年第4四半期と年間実績)を発表した(詳細は別掲)。

 

 ABMは、ASEAN6カ国(フィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナム)、中国、韓国、香港という合計9カ国・地域の東アジア新興国(EEA)現地通貨建て債券市場の変化を定期的に調査・分析しているものである。

 このABM最新版によると、2013年末時点のEEA9カ国・地域の現地通貨建て(LCY)の民間企業社債・金融債(社債)発行残高は19.7%増の2兆8,200億ドル相当であった。LCY社債発行残高上位国・地域は、1位中国1兆4,050億ドル相当(同31.3%増)、2位韓国1兆0,150億ドル相当(同11.4%増)、3位マレーシア1,300億ドル相当(同5.9%増)など。

 フィリピンのLCY社債残高は前年比12.4%増の130億ドル(5,920億ペソ)へと二桁増加した。しかし、EEA9カ国・地域でのLYC社債残高シェアは0.5%で8位にとどまっている。ちなみに、最下位のベトナムは同36%減の7億ドル相当でシェアは僅か0.02%であった。

 米国の金融緩和縮小の動きの中で、フィリピンでも低金利のうちに資金を調達という動きが活発化、2013年第4四半期に社債発行額が774億ペソへと大幅増加した。ちなみに、第1四半期は195億ペソ、第2四半期は140億ペソ、第3四半期は320億ペソであった。

 2013年第4四半期には、フィリピンの12社がペソ建て社債(譲渡性預金証書や劣後債などを含む)を発行した。最大発行額はマニラ電力(メラルコ)の185億ペソ、以下、フィリピン開発銀行(DBP)の100億ペソ、アボイティスの80億ペソ、フィルインベスト・ランドの70億ペソ、アヤラランドの60億ペソなどと続く

 この結果、2013年末のペソ建て社債発行残高トップはアヤラランドの499億ペソとなった。以下、2位サンミゲル・ブリュワリー(SMB=サンミゲル・ビール)の452億ペソ、3位アヤラコープの400億ペソ、4位マニラ電力(メラルコ)の379億ペソ、5位SMインベストメントの361億ペソ、6位フィリピン・ナショナル・バンク(PNB)の309億ペソ、7位BDOユニバンクの230億ペソ、8位フィルインベスト・ランドの215億ペソ、9位EDCの190億ペソとリサール商業銀行(RCBC)の190億ペソなどと続く。

 フィリピン企業は現時点で、52社のみがフィリピン社債市場での資金調達を行っているだけである。2013年末の社債残高のうち93.4%上位33社で占められている。この33社のうち26社がフィリピン証券取引所(PSE)上場企業であり、7社が非上場企業である。

 なお、2013年のフィリピン企業による外貨建て社債発行額は38億5,800万ドルに達した。主なものは、4月のサンミゲルの8億ドル、1月のJGサミットの7.5億ドル、2月のぺトロン7.5億ドルまどである(14年3月20日のアジア開発銀行プレスリリースなどより)。