三菱商事とマニラ水道、ヤンゴン水道改善支援

2014/03/17

フィリピンでの劇的な改善実績をミャンマーに

 

 三菱商事は海外でのビジネス展開を図るに当たり、①人口が多いこと ②識字率が高いこと ③日本に対して友好的であることの3つの条件を重視している。

 アジア最後のフロンティアといわれるミャンマーは、①人口6,000 万人 ② 90%を超える識字率 ③同国を走る車の90%以上が日本車であることに象徴されるように、日本製品への信頼度が高く日本に対して好意的、と、まさにこの3つの条件を兼ね備えている。

 そのミャンマーにおいて、経済発展を図っていくためには、電力、港湾、道路、空港、上下水道、通信などのインフラ整備や、投資、貿易、会計、税制、金融に関する法律やシステムの整備など、ハード・ソフト両面の整備が焦眉の課題である。各国企業によるミャンマーへの取り組みは、検討段階から実ビジネスに入る時期にあり、三菱商事は、上記の課題解決にも資するため、現在、積極的にインフラ事業に取り組んでいる。

 その一環として、ミャンマー最大の都市ヤンゴン市の水道インフラ改善を支援する。このほど、フィリピンのアヤラグループの優良水道企業マニラ・ウオーター(MWC)とともに、ヤンゴン市開発委員会(YCDC)との間で、ヤンゴン市の水道インフラ改善に関する覚書(MOU)を締結した。

 具体的には、ヤンゴン市水道の「無収水率(システム・ロス率)」を低減させる。無収水率とは、漏水・盗水など売上に結びつかない水量の割合である。現在のヤンゴン市内の無収水率は約65%と非常に高水準(日本は数%)であり、その低減が急務である。

 なお、MWCは1997年のマニラ首都圏水道事業民営化の際に、首都圏上下水道局(MWSS)から首都圏東半分の給水権を獲得、引き継いだ。その当時、首都圏で清浄な飲料水の安定供給を受けられる世帯は26%に過ぎなかった。その後、MWCは首都圏東半分の上下水道施設改善などの為、積極投資を実行した。

 その結果、MWCの首都圏事業地域での飲料水24時間供給世帯率は100%近くにまで高められた。一方、漏水などの無収水率は、97年には63%と現在のヤンゴン並みに高水準であったが、現在は10%前後へとドラスティックに改善されている。このMWCのマニラ首都圏での卓越した改善実績が、ヤンゴンで役立つと期待される。

 なお、MWCは海外事業も積極的に推進しており、ベトナム、インドネシア、インドなどへ進出している。また、三菱商事は、フィリピンでも、MWC等アヤラグループと協働、インフラ整備などを推進している(14年3月17日のフィリピン証券取引所回覧1180-2014号などより)。