日産自動車がフィリピンに再参入、新型車投入

2014/03/07

7日に新型「シルフィ」と「アルティマ」の発売会

志賀副会長も出席、有望市場への期待表明

 

日産自動車(日産)がASEAN地域事業の大幅拡充、シェア拡大に向けて動いている。

 

 フィリピンにおいても、事業基盤再強化、販売シェア急回復を目指す。日産は、1982年に丸紅との合弁企業 ピリピナス・フィリピンを設立(その後日産モーター・フィリピン{NMPI}に社名変更)、翌年にスタンザの生産を開始した。


 
 90年代の日産のフィリピンでの販売シェアは、1995年まではトヨタ、三菱自動車に次ぐ第3位であった。1995年の販売台数は1万8,729台、 1996年はホンダに抜かれたものの、1万9,104台を販売した。しかし、1997年に1万6,456台へ減少、その後はさらに減少傾向を辿り、 2000年には日産モーター・フィリピン(NMPI)の経営権は台湾の裕隆汽車(裕隆)へと移った。

 そして、フィリピンでの日産の乗用車生産・販売は裕隆主導のNMPI、商用車生産・販売は現地企業ユニバーサル・モーター・コロンビア(UMC)へと二 分されるに至った。昨年まで、日産はMNPIに約5.4%出資しているだけで、UMCへは全く出資していなかった。すなわち、資本面では、フィリピンからはほぼ撤退した状況となっていた。

 したがって、日産のフィリピンでの販売シェアは一段と低下傾向を辿り、2007年には韓国の現代自動車に4位の座を奪われた。また、いすゞやフォード等 にも抜かれ、2012年の販売台数はNMPIとUMC合計で僅か6,404台、シェアは3.5%にとどまった。2013年11カ月間でも合計約7,200 台で第7位にとどまっている。

 このような状況下で、日産は昨年12月12日に、「NMPIとUMCと共同で、合弁会社のフィリピン日産(NPI、本社:マニラ首都圏)を設立する」と発表、NPIの設立に至った。このNPIは、フィリピン市場を対象とした新たな販売会社としてブランド認知度の向上、シェア急回復を目指す。

 NPIは、フィリピン国内のブランド、販売マーケティング戦略、そしてディーラー事業の強化を担い、商品ラインナップの拡充と販売・サービスの向上を通 じて、ブランド・パワーとセールス・パワーの向上を目指す。すなわち、販売に関しては、これまで二分されていた乗用車と商用車事業が統合され、顧客に幅広い選択や利便性を提供することになる。

 NPIの資本金は10億円(980万米ドル)で、出資比率は日産が51%、UMCとNMPIがそれぞれ24.5%である。すなわち、販売面では、日産が 直接主導権を握ることになる。すなわち、日産がフィリピン市場に本格的に再参入したといえる。なお、UMCとNMPIはこれまで通り、フィリピン市場向けの日産車の生産を続ける。

 この新生NPIは、3月7日に、新型「アルティマ」と新型「シルフィ」を発売した。発表会には、日産本社の志賀俊之副会長も出席し、「フィの人口は1億人に達しつつありGDP成長率は7%超となっているのに、年間新車販売台数は20万台強に過ぎない。市場の大きさ、成長率の高さなどを勘案すると、フィリピン市場は非常に有望であり、販売台数の50万台到達の可能性もある。日産も新たなモデルを投入することを視野に入れるとともに、雇用創出や業界発展に貢献する意向である」とコメントした。

 新型「アルティマ」は、セグメントトップクラスの燃費や、力強く空力性能に優れたエクステリア・デザイン、高級感のあるインテリア、優れた乗り心地や加速性能を特長としている。販売価格帯は2.5L SV CVTが165万ペソ、3.5L SL CVTが203万ペソとなっている。

 一方、新型「シルフィ」は世界120カ国で販売する「日産パワー88」(中期経営計画)のなかでも中核となるセダンである。販売価格は1.6L マニュアル車が81万2,000ペソ、 1.6L CVT車が91万5,000ペソ、1.8L CVT -が99万8,000ペソである。ただし、発売記念価格として、3月中は1.6Lマニュアル車が79万29000ペソ、 1.6L CVT車が90万2,000ペソ、1.8L CVT -が98万8,000ペソという導入割引価格で提供される。