マネーサプライ(M3)、38.6%と非常に高い伸び
2014/03/02
ナローマネー(M1)伸率も30.8%と高水準:1月末
中央銀行、インフレ率急騰懸念なしと楽観視
フィリピン中央銀行(BSP)は2月28日、新基準による2014年1月の国内流動性統計(速報値)を発表した。
それによると、1月末のマネーサプライ(M3ベース)残高は前年同月末比38.6%増の6兆9,112億ペソで、前月末(同32.7%増)に引き続き、非常に高い伸びとなった。前月末との比較では0.4%の減少であった。過去最高の伸び率は1995年4月に記録した45.4%増。
一方、1月末のナローマネー(M1)残高は前年同月末比30.8%増、前月末比ではほぼ横ばいの2兆0,446億ペソであった。対前年同月末伸び率は、前月末の27.3%から拡大した。
この非常に高いマネーサプライの伸び率は、各金融機関の持続的な融資残高の拡大にくわえ、資金の特別預金口座(SDA)から市中への還流を促すという中央銀行の政策(SDA流入規制強化や13年前半までのSDA金利引き下げ継続)も寄与している。
3月3日付けフィリピン各紙電子版によると、マネーサプライの非常に高い伸びに関して、中央銀行は「特別預金勘定(SDA)ファシリティへの銀行及び信託会社のアクセスに関する規制強化による、資金の市中への還流という一時的な要因によるものであり、大幅なインフレ上昇を懸念する必要はない」との見解を示したとのことである。
そして、SDAマネーの市中への還流は、製造業、公益事業、建設業界等への融資拡大につながっている。すなわち、実需へ資金が還流しており、実体経済の安定成長支援という中央銀行の目的に沿ったものとなっているともコメントしたとのことである(14年2月28日のフィリピン中央銀行発表など より)。
マネーサプライ残高推移(単位:百万ペソ)
項目 | 月末残高 | 伸び率 | |||
年・月 | 13年1月 | 13年12月 | 14年1月 | 前月末比 | 前年同月末比 |
広義マネーサプライ(M3) | 4,984,749 | 6,937,337 | 6,911,170 | -0.4% | 38.6% |
狭義マネーサプライ(M1) | 1,563,611 | 2,045,576 | 2,044,612 | -0.05% | 30.8% |
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成13年12月は改定値)