パナソニック、フィリピンでも復調傾向

2014/02/16

9ケ月間の純利益、51%増の9,698万ペソに
消費者製品(家電・AV等)営業利益25%増加

 

 パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズ(PMPC、会計期末3月、本社:リサール州タイタイ)が、2013年度9カ月間(13年4月~12月)報告書を提出した。



 それによると、PMPCの2013年度9カ月間の売上高は前年同期比1.5%増の50億7,985万ペソとなった。好調なフィリピンの内需、PMPCの販売促進効果、販売代理店の拡販努力などにより増収となった。特に第1四半期(4月~6月)に冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、エアコン等の家電製品の売り上げが好調であった。    

  損益面では、ペソ安にともなう輸入原材料費上昇などで、原価率が前年同期の71.3%から72.1%へと上昇、総利益は同1.4%減の14億1,715万ペソにとどまった。しかし、販売費を同4%減の8億8,442万ペソに抑制したこと、その他損益が2,440万ペソの黒字に転換(前年同期は2,012万ペソの赤字)したことなどにより、純利益は同51.4%増の9,698万ペソ、1株当たり純利益も同53%増の0.23ペソへと大幅増加した。前年同期は84人の早期退職者への割り増し退職金が発生したことで、その他損益がマイナスとなったという経緯がある。

 主要部門の動向に関しては、主力の消費者製品(家電・AVなど)の売上高が同2.9%増の47億6,969万ペソ(構成比93.9%)に達した。その営業利益は同25%増の1億4,237万ペソへと二桁増加した。一方、ビジネス関連製品(通信・セキュリティー関連機器など)の売上高は同17.5%減の2億4,671万ペソ(構成比4.9%)、営業利益は同44.8%減の376万ペソと低調であった。
 

PMPCの2013年度9カ月間の主要部門の売上高・損益動向(単位:万ペソ)

部門 GCMS(消費者製品) SNC(ビジネス製品) 総合計
主要製品 家電・AV等 通信・安全機器等 全商品
売上高 476,969 24,671 507,985
前年同期比 2.9%増加 17.5%減少 1.5%増加
構成比 93.9% 4.9% 100.0%
       
営業損益 14,237 376 10,464
前年同期比 25.0%増加 44.8%減少 1.3%減少
前年同期実績 11,393 681 10,599

GCMSとはグローバル・コンシューマー・マーケティングセクターの略
SNCとはシステム・ネットワーク&コミュニケーションの略
総合計にはES(環境ソリューション)、その他をも含む (出所:PMPC資料より作成)

 なお、パナソニックのフィリピンにおける製造・販売拠点であるPMPCは、フィリピン初の日系合弁家電企業であり、長い歴史を有している。

 PMPCの起源は、1963年5月に設立されたフェスティバル・マニュファクチャリング(FMC)である。FMCは1965年に、プレシジョン・エレクトロニクス(PEC)と社名変更した。このPECと松下電器産業(MEI、社名は当時)が1967年にフィリピンで合弁家電企業を設立した。当初、合弁企業名はPECだったが、25年後の1992年にマツシタ・エレクトリック・フィリピン(MEPCO)と変更された。さらに、2005年に現社名PMPCへと再変更された。すなわちパナソニックは、フィリピンで45年以上もの長い歴史を有していることとなる。
 
 この間、フィリピンで初めての非水銀電池やフロンガス不使用の冷蔵庫の生産、家電メーカーとして初めてとなるISO9002、ISO14001認証取得など輝かしい成果を上げてきた。また、フィリピン家電業界をリードする一方、社会貢献活動やパナソニックの「アジア大洋州エコアイディア宣言」に沿った環境保全活動なども推進している。
 
 1983年1月にはフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。現在、PMPCは額面1ペソの普通株式を約4億2,272万株発行している。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は、2013年9月末時点で79.96%である。一方、浮動株比率は15.76%となっている。

 PMPCのPSEでの直近株価は6.25ペソ。これをベースにすると、直近の時価総額は26億4,200万ペソ(約59億円)である。PSE算出の株価収益率(PER)は約44.6倍。この1年間の高値は6.75ペソ、安値は4.75ペソである(パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズの2013年度9カ月間報告書などより)。