13年GDP成長率7.2%に拡大、GNIは7.5%

2014/01/31

鉱工業9.5%、サービス7.1%、農林水産1.1%
第4四半期6.5%、アジアで中国に次ぐ伸びに

 

 1月30日午前10時から、国家統計調整委員会(NSCB)が2013年第4四半期(10~12月)及び通年の経済成長実績(GDP など)の発表及びその記者会見を実施した。


 それによると、2013年第4四半期(10月~12月)のGDP成長率は6.5%となった。ビサヤ中部に壊滅的な打撃を与えた超大型台風30号(フィリピン名:ヨランダ)の影響などで前期の6.9%(改定値:以下同様)、前年同期の7.1%からは鈍化したが、堅調な鉱工業(特に製造業)とサービス業に支えられ6%台の成長を維持。アジア域内では、中国の7.7%に次いで高い成長率となった。

 輸出の伸びは6.4%で前年同期の8.6%からは鈍化したが、GDPのマイナス勘定となる輸入の伸びが1.9%で、前期の8.0%から大きく鈍化しGDP成長率への影響を軽減した。また、サービスの輸出は7.0%と伸び、前年同期のマイナス0.6%からプラス成長に転じた。

 GNI(国民総所得)成長率は7.8%となり前年同期の6.4%から拡大した。フィリピン人海外就労者(OFW)からの送金など海外からの純所得(NPI )の伸びは、前年同期(2.7%)を大きく上回る15.1%でGNI成長率の拡大に寄与した。ちなみに、15.1%は2010年第1四半期以来最大の成長率である。

 [2013年通年]
 2013年通年のGDP成長率は7.2%で、前年の6.8%から拡大した。セクター別では農林水産業が1.1%(前年は2.8%)、鉱工業が9.5%(同6.8%)、 サービス業が7.1%(同7.6%)であった。鉱工業では、製造業が10.5%(同5.4%)、建設が11.1%(同15.7%)と特に高い伸びを見せた。サービス業では、金融の12.4%(同8.2%)、不動産の8.4%(同7.5%)などが目立った。

 支出項目別伸び率は、家計最終消費支出伸び率が5.6%政府最終消費支出は8.6%とそれぞれ前年(6.6%、12.2%)を下回ったが、資本形成は18.2%で前年(-3.2%)のマイナス成長から大幅なプラス成長に転じた。

 2013年のGNI成長率は7.5%(2003年に記録した8.5%に次ぐ高成長)となり、前年の6.5%を上回った。海外からの純所得(NPI )の拡大が成長に寄与した。

   [2014年の政府見通し]
 国家経済開発庁(NEDA)は、台風ヨダンダの被災地が復興し勢いを取り戻すのにまだ時間を要するという事実が2014年第1四半期のGDP成長率に影響すると予想しているが、世界経済の見通しが明るく国内経済も力強さを維持している背景で、2014年の国内経済は依然として堅調に推移すると楽観視している。

 国際通貨基金(IMF)はグローバル経済の成長率を2014年3.7%、2015年3.9% と予想。世界銀行(WB)は2014年3.2%、2015年3.4%と予想している。また、アジア開発銀行(ADB)はアジア地域の2014年の成長率を6.2%と見ている。これはグローバル経済危機からの回復を示しており、鉱工業部門を中心にフィリピン経済も輸出市場の拡大を十分利用できると確信している(14年1月30日のフィリピン国家統計調整委員会・国家経済開発庁発表より)。




産業・支出項目別GDP実質成長率(前年同期比)の推移(2000年基準:単位:%)

項目 構成比 四半期成長率 年間成長率
13年 12年 13年 12年 13年
期間 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 年間 年間
GNI(国民総所得) 100.0 5.7 6.5 7.3 6.4 7.8 6.4 8.1 7.8 6.5 7.5
GDP(国内総生産) 83.7 6.5 6.3 7.3 7.1 7.7 7.6 6.9 6.5 6.8 7.2
NPI(海外からの純所得) 16.3 1.9 7.6 7.1 2.7 8.2 0.1 14.4 15.1 4.8 9.4
セクター別内訳
農林水産業 9.6 1.1 0.6 4.4 4.9 3.1 -0.2 0.3 1.1 2.8 1.1
 農林産業 7.8 2.2 1.3 5.5 5.2 2.5 -0.9 0.3 2.4 3.6 1.2
     米 2.5 -1.1 10.1 13.5 10.2 4.5 -1.8 -6.5 8.1 8.0 2.2
    トウモロコシ 0.4 5.4 4.0 11.5 1.6 11.4 -25.9 7.0 -3.6 6.3 -0.4
  水産業 1.8 -3.8 -2.5 0.0 3.4 5.8 3.3 0.5 -4.4 -0.4 0.7
鉱工業等 27.8 5.3 5.8 7.1 8.9 10.9 10.3 8.3 8.4 6.8 9.5
  鉱業 0.5 -1.7 6.5 -1.2 2.8 -1.9 -2.7 4.7 -10.4 2.2 -2.5
  製造業 20.3 6.0 4.3 5.8 5.5 9.5 10.3 9.7 12.3 5.4 10.5
  建設 4.6 1.5 11.6 17.8 29.9 29.3 17.3 4.5 -0.8 15.7 11.1
  光熱水道 2.4 8.5 6.1 2.7 3.4 0.3 6.0 6.7 2.5 5.1 4.0
サービス業 46.3 8.4 7.7 8.0 6.5 6.8 7.5 7.4 6.5 7.6 7.1
  運輸倉庫通信 6.1 9.7 9.3 9.4 4.4 2.8 6.6 6.5 6.2 8.1 5.5
  商業・自動車修理等 14.8 7.8 7.8 8.2 6.6 5.5 6.8 6.1 7.4 7.5 6.5
  金融 5.4 8.7 7.0 8.6 8.8 18.0 10.3 12.1 9.9 8.2 12.4
  不動産等 8.6 7.8 8.1 7.8 6.5 5.8 9.6 11.7 6.3 7.5 8.4
支出別内訳
家計最終消費支出 61.5 6.9 6.6 6.7 6.2 5.5 5.1 6.2 5.6 6.6 5.6
政府最終消費支出 6.1 21.3 7.2 12.3 9.5 13.2 18.0 4.6 -5.2 12.2 8.6
資本形成 18.9 -31.3 3.6 6.2 9.5 44.5 18.0 15.6 5.7 -3.2 18.2
 固定資本 17.9 2.8 8.7 10.5 19.7 15.6 13.2 11.9 7.0 10.4 11.7
   建設 7.2 -1.2 10.2 19.2 30.4 30.1 16.0 4.1 -0.5 15.1 10.9
   耐久設備 8.8 4.5 8.4 5.8 14.1 9.6 13.0 20.0 15,5 8.0 14.4
輸出等 31.0 9.8 10.8 6.2 8.6 -7.6 -6.8 12.8 6.4 8.9 0.8
輸入等(控除勘定) 34.2 -1.9 8.3 7.0 8.0 2.0 -2.9 16.4 1.9 5.3 4.3

(出所:国家統計調整委員会資料より作成)