フィリピンの競争力、急ピッチで上昇

2014/01/30

政治・経済両面で国際的評価高まる

 

 フィリピンの競争力に関する評価が急ピッチで上昇している。


 2013年に発表された国際機関などによる8つの主要競争力指標において、7つの指標でフィリピンの順位が上昇した。唯一上昇しなかった世界IT 競争力においても、フィリピンは86位で前年の順位と全く同じであり、下落したわけではなかった。

 下表のとおり、世界経済フォーラム(WEF)による国際競争力ランキングでは、2013年は59位で、前年の65位から6ランク、前々年の75位から 16ランク上昇した。管理開発機構(IMD)による世界競争力ランキングでは38位で前年から5ランク、前々年から3ランク上昇した。

 国際金融公社(IFC)などによるビジネス環境度ランキングでは、2013年は108位で、前年の138位から30ランクの急上昇を見せた。世界知的所有権機構(WIPO)による技術革新度でも90位で前年から5ランク上昇している。

 トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)による汚職に対する清潔度においても、2013年は94位で前年から11ランク、前々年から35ランク急上昇している。WEFによる旅行観光競争力においても82位で前々年から12ランク上昇している。一方、平和基金(FP)による破綻可能性(順位が低いほど破たんの可能性が少ない)
では59位で、前年から3ランク、前々年から8ランク改善している。

 米国シンクタンクのヘリテージ財団(HF)とウォールストリート・ジャーナル(WSJ)による経済自由度においても、2013年は97位で、前年から 10ランク、前々年から18ランク上昇した。この経済自由度は、既に今年1月14日に2014年版が発表されたが、フィリピン順位は89位で更に8ランク上昇している。フィリピンは60.1ポイント(前年58.2ポイント)で、「Mostly Unfree(59.9~50ポイント)」から「Moderately Free(69.9~60ポイント)」になった。項目別では、政府支出のコントロール、投資自由度、ビジネス自由度、金融自由度が改善し、ランクアップに つながった。いずれにしても、幸先の良いスターとなった。

 このような国際競争ランキングにおいて、フィリピンの順位が急ピッチで上昇していることに関して、フィリピン政府は、「アキノ政権が推進してきた汚職・ 腐敗追放、財政規律の改善、適切な経済運営などの奏功の結果である」と自賛している。そして、3年後の2016年には、世界ランキング上位3割入りを目標 とすると表明している。

 ただし、フィリピンの順位そのものは依然総じて低ランクであり、上位3割入りには、官民一体の改善努力が必要であろう(フィリピン官報などより)。

 

 

フィリピンの競争力順位の推移(順位の59/148とは調査対象148カ国中59位という意味)

レポート 2013年順位 2012年順位 2011年順位 前年比 前々年比 ASEAN順位 出所
国際競争力 59/148 65/144 75/142 +6 +16 6/10 WEF
ビジネス環境度 108/189 138/185 136/183 +30 +28 6/10 IFC
世界競争力 38/60 43/59 41/59 +5 +3 4/5 IMD
汚職に対する清潔度 94/177 105/179 129/183 +11 +35 4/10 TI
経済自由度 97/177 107/179 115/179 +10 +18 5/7 HF
世界IT競争力 86/144 86/142 86/138 0 0 6/7 WEF
旅行観光競争力 82/140 n/a 94/139 - +12 7/8 WEF
技術革新度 90/142 95/141 91/125 +5 +1 7/9 WIPO
物流効率性 - 52/155 44/155 - - 4/9 WB
破綻可能性 59/178 56/177 51/177 +3 +8 7/10 FP

(出所:フィリピン国家競争力委員会資料より作成)