ミンダナオ和平交渉妥結、日本が多大な貢献

2014/01/27

今後も経済開発などの支援を継続・強化へ
岸田文雄外務大臣が歓迎の談話を発表

 

ミンダナオ和平に関する交渉の終結(詳細は下記参照)に対して、日本の岸田文雄外務大臣は以下のような歓迎の談話を発表した。



1.日本は今般、フィリピン政府とモロ・イスラム解放戦線(MILF)が、マレーシアのクアラルンプールにおいて、ミンダナオ和平に関する包括和平合意の交渉を成功裡に終結したことを心から歓迎する。

2.日本は、ミンダナオ和平が地域の平和と安定に寄与するとの確信の下、長年にわたり和平プロセス支援を継続してきている。日本のこれまでの支援が、和平の進展に寄与したことは、誠に喜ばしい限りである。

3.日本は、フィリピン政府及びMILF並びに仲介役のマレーシア政府の努力に対し敬意を表するとともに、関係者が努力を継続し、基本法の制定や暫定移行機関の設置など、バンサモロ政府発足に向けた移行プロセスが着実に進むことを強く期待する。

4.日本は、安倍総理が昨年7月のフィリピン訪問の際に表明したとおり、ミンダナオのコミュニティ開発、移行プロセスにおける人材育成、持続的発展のための経済開発支援等を通じ、和平プロセスへの支援を強化していく。

【参考】ミンダナオ和平について
(1)フィリピン政府とモロ・イスラム解放戦線(MILF)との和平交渉は、2001年にマレーシアを仲介役として開始。2003年に停戦合意に至り,2004年からマレーシアを団長とする国際監視団(IMT)が活動を開始。これにより和平合意に向けた交渉は進展したものの、2008年8月に最大の懸案である土地問題の解決をめぐる国内調整に失敗し、武力衝突が再燃。

 その後、2009年12月の国際コンタクト・グループ(ICG:)結成を契機として、2010年2月に和平交渉が再開。2010年6月に発足したアキノ政権下でも和平交渉は継続され、2012年10月に「バンサモロ枠組み合意」に署名。その後,附属書4件(移行プロセス,権限分担,資源分,正常化)の交渉を開始し、今般、最後の「正常化」附属書に合意・署名し、和平交渉は終結した。近く「バンサモロ包括合意」に署名予定。

(2)今後、和平プロセスは「バンサモロ政府(Bangsamoro Government)」(自治政府)の創設に向けた移行プロセスに入る。具体的には、今次合意を基礎とするバンサモロ基本法の制定、管轄領域を画定するための住民投票の実施、ムスリム・ミンダナオ自治地域(ARMM:)の廃止と暫定移行機関(BTA: Bangsamoro Transition Authority)の設置を経て、2016年の自治政府発足を目指す。

(3)日本は、(ア)IMTの社会経済開発部門への開発専門家派遣、(イ)元紛争地域に対する人間の安全保障・草の根無償資金協力など経済協力プロジェクトの集中的実施(J-BIRD)、(ウ)和平交渉にオブザーバー参加をして助言を行う国際コンタクト・グループ(ICG)への参加等を通じ、ミンダナオ和平プロセスの進展及びミンダナオ地域の復興・開発に貢献。また、2011年8月4日には、アキノ大統領及びムラドMILF議長が訪日し、東京近郊でミンダナオ和平問題の解決に向けた非公式会談が行われた。

(4)安倍総理は2013年7月のフィリピン公式訪問の際、「対フィリピン外交の4つのイニシアティブ」を発表、その一つに「ミンダナオ和平プロセス支援の強化」を掲げ、(ア)ミンダナオのコミュニティ開発(学校、診療所、井戸、訓練施設等の建設)、(イ)移行プロセスにおける人材育成、(ウ)持続的発展のための経済開発(農業、鉱工業、大規模インフラ整備等を見据えた協力)の3分野での支援継続・強化を表明した(14年1月26日の日本外務省発表より)。