11月のインフレ率3.3%、9カ月ぶりの高水準

2013/12/05

大型台風など響く、供給不足で食料4.0%上昇
11カ月間では2.8%、目標の下限以下で推移

 

 

 フィリピン国家統計局(NSO)は12月5日、2013年11月の消費者物価動向を発表した。

  11月の総合消費者物価上昇率(インフレ率、2006年=100)は前年同月比3.3%(速報値)で前月から0.4%ポイント上昇した。今年2月の3.4%以来、9カ月ぶりの高水準となったが、フィリピン中央銀行(BSP)の直前予想圏内(3.3~4.1%)にはおさまった。11月のインフレ率が前月より上昇した主要因は、食品、電気料金、国内石油価格の上昇によるもの。特に、超大型台風30号など悪天候の影響で農作物の市場への供給量が減少、米、魚類、野菜類を中心に主要食品の価格上昇をもたらした。

 コアインフレ率(特定食品及びエネルギー関連品目を除く)は2.8%で前月の2.5%から0.3%ポイント上昇した。 

 11月のマニラ首都圏(地域別構成比30.006%)の総合インフレ率は1.9%で前月(1.1%)から0.8%ポイント上昇。主として食品・非アルコール飲料の物価上昇が影響した。また、首都圏以外の地方(地域別構成比69.994%)の総合インフレ率は前月の3.4%から0.4%ポイント上昇し3.8%となった。

 2013年11カ月間(1~11月)の平均総合インフレ率は2.8%で、2013年度政府インフレ目標(3.0~5.0%)の下限以下で推移している。平均コアインフレ率は2.9%であった。

 


消費者物価上昇率(インフレ率:2006年基準の前年同月比%)

項目 13年11月 13年10月 13年1~11月
全国    総合インフレ率 3.3 2.9 2.8
       コアインフレ率 2.8 2.5 2.9
首都圏  総合インフレ率 1.9 1.1 1.5
地方    総合インフレ率 3.8 3.4 3.2

(出所:フィリピン国家統計局資料より作成)


総合消費者物価上昇率年平均(2006年基準、前年同月比%)

2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年
平均インフレ率 2.9 8.3 4.2 3.8 4.6 3.2

(出所:フィリピン国家統計局資料より作成)


政府のインフレ率目標と実績の推移(過去実績はその目標設定時の2000年基準値)

2008年 2009年 2010年 2011年 2012~14年 2015~16年
インフレ目標 3.0~5.0% 2.5~4.5% 3.5~5.5% 3.0~5.0% 3.0~5.0% 2.0~4.0%
インフレ率実績 9.3% 3.2% 3.8% 4.4% - -

(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)

 

総合消費者物価上昇率(2006年基準、前年同月比%)

項目 年間 12年 13年
12年 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月
総合 3.2 2.8 3.0 3.1 3.4 3.2 2.6 2.6 2.7 2.5 2.1 2.7 2.9 3.3
食料・非アルコール飲料 2.4 2.3 2.4 2.4 3.1 2.8 2.2 2.5 2.3 2.3 1.8 2.5 3.2 3.9
酒類・煙草 5.0 5.0 5.1 17.3 29.0 31.5 31.4 31.1 31.2 31.1 31.0 31.2 31.0 30.7
衣料・靴類 4.6 5.0 4.9 4.9 4.8 4.9 4.2 3.5 3.3 3.1 3.0 2.9 3.0 2.9
住宅・光熱・燃料 4.6 3.7 3.7 3.7 2.6 2.1 1.3 1.5 1.4 0.6 -0.3 1.1 0.8 1.9
家庭用品・営繕 3.7 4.8 4.8 4.9 5.0 4.7 4.0 3.7 3.3 2.9 2.4 2.3 2.2 2.3
健康・医療 3.2 3.4 3.4 3.7 3.6 3.6 3.4 3.0 2.6 2.6 2.6 2.7 2.5 2.5
交通・輸送 2.3 1.4 1.2 1.1 1.0 0.6 -0.7 -0.5 0.7 1.6 1.0 0.6 0.5 0.7
通信 0.1 0.4 0.4 0.5 0.7 0.5 0.3 0.1 0.1 0.1 0.1 0.0 0.0 0.0
娯楽・文化 2.6 2.6 2.6 2.0 2.2 2.3 1.8 1.7 2.7 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5
教育 4.6 4.4 4.4 4.4 4.4 4.4 4.4 4.4 4.5 4.7 4.7 4.7 4.7 4.7
外食・サービス他 3.2 3.2 3.2 2.8 2.8 2.9 2.7 2.3 2.1 2.0 2.2 2.2 2.2 2.1
首都圏 2.9 2.6 2.8 2.4 2.3 1.9 1.7 1.8 1.6 1.0 -0.1 1.1 1.1 1.9
 地方 3.2 2.9 3.0 3.4 3.7 3.5 2.9 2.9 3.0 2.9 2.7 3.1 3.4 3.8

(注:一部は改定値)

 

食料品物価上昇率(2006年基準、前年同月比%)

項目 食料 コーン 果物 野菜 肉類 魚類 乳製品・卵 油・油脂 パン・シリアル 砂糖・菓子類 その他食品
12/11月 2.2 1.6 5.0 4.9 -5.3 1.5 5.8 3.3 -5.0 2.5 3.8 2.1
12月 2.3 1.9 4.5 5.5 -5.2 1.6 5.9 3.2 -5.2 2.7 3.4 2.8
13/1月 2.3 1.7 5.0 5.6 -3.6 1.7 5.2 3.1 -5.6 2.6 2.5 2.7
2月 3.0 1.9 5.9 5.1 1.4 1.9 5.8 2.9 -5.9 2.7 3.4 3.3
3月 2.8 1.6 5.7 4.2 3.2 1.8 4.9 2.8 -5.9 2.5 3.4 3.3
4月 2.1 1.4 5.3 5.0 3.5 2.0 2.1 2.3 -6.9 2.1 1.9 2.1
5月 2.4 1.5 5.7 5.2 4.8 2.4 2.6 2.1 -7.5 2.1 0.7 2.0
6月 2.3 1.8 3.8 4.6 5.5 2.2 2.6 1.7 -7.8 2.2 0.1 2.7
7月 2.3 2.4 3.6 4.9 4.3 2.1 2.6 1.7 -7.6 2.5 -2.8 3.1
8月 1.8 3.9 3.6 4.3 -2.6 2.0 1.4 1.7 -7.3 3.6 -4.1 2.8
9月 2.5 7.1 3.9 3.8 -3.7 2.0 1.5 1.7 -6.8 6.0 -4.2 3.3
10月 3.4 7.8 3.7 3.8 1.2 2.2 2.5 1.6 -5.6 6.4 -4.0 3.4
11月 4.0 8.1 3.6 3.9 5.4 2.2 3.1 1.5 -4.5 6.6 -2.7 3.3

(出所:フィリピン国家統計局資料より作成)
 

  なお、中央銀行(BSP)発表によると、2013年11月の総合インフレ率(2006年=100)3.3%への寄与度は、食料・非アルコール飲料1.5%(うち食料1.4%)、酒類・煙草0.6%、外食・サービス他0.3%、住宅・光熱・燃料0.4%、教育0.2%、衣料・靴類0.1%など。

 テタンコBSP総裁は、今後も、通貨政策の決定が物価安定の基本方針と一致するよう価格や生産の動向を綿密に監視していく方針を示した(13年12月5日のフィリピン国家統計局と中央銀行発表より)。

 

13年11月及び年初11カ月間のインフレ率(2006年=100)と寄与度(%)

項目

構成比

11月 1~11月
インフレ率 寄与度 平均インフレ率 寄与度
総合 100.00 3.3 3.3 2.8 2.8
食料・非アルコール飲料 38.98 3.9 1.5 2.6 1.0
   うち食料のみ 36.29 4.0 1.4 2.6 1.0
酒類・煙草 2.00 30.7 0.6 29.8 0.6
衣料・靴類 2.95 2.9 0.1 3.6 0.1
住宅・光熱・燃料 22.47 1.9 0.4 1.5 0.3
家庭用品・営繕 3.22 2.3 0.1 3.4 0.1
健康・医療 2.99 2.5 0.1 3.0 0.1
交通・輸送 7.81 0.7 0.1 0.6 0.0
通信 2.26 0.0 0.0 0.3 0.0
娯楽・文化 1.93 2.5 0.0 2.3 0.0
教育 3.36 4.7 0.2 4.5 0.2
外食・サービス他 12.03 2.1 0.3 2.4 0.3

(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)