コンビニ、フィリピンで成長期入り

2013/12/04

セブン・イレブン、まもなく1千店体制
ミニストップ、ファミマも順調に拡大

 

 

フィリピンのコンビニエンス・ストア業界が成長期を迎えたといえる。フィリピンでは業界トップのセブンイレブンをマーキュリー・セルフサービスやミニストップが追うという構図になっている。

 


 PSCアニュアル・レポートによると、2012年末のフィリピンのブランドコンビニエンス・ストアの総店舗数は前年末比32%増の1,829店。シェアはセブンイレブン45%、ミニストップ18%、マーキュリー33%、サンミゲル・フードショップ2%となっている。そして、今年4月には、ファミリーマートも進出、急ピッチで店舗網を拡充しつつある。

 

フィリピンのブランドコンビ二エンス・ストア店舗数とシェア

  2010年末 11年末 12年末 12年末シェア 13年直近
セブン・イレブン 551 689 829 45% 989
マーキュリー・セルフサービス 287 345 606 33% N.A.
ミニストップ 336 325 334 18% 362
サンミゲル・フードショップ 13 25 60 3% N.A.
ファミリーマート - - - - 16
合計 1,187 1,384 1,829 100% N.A.

(出所:フィリピン・セブン資料より作成、ミニストップ店舗数は日本側発表と多少異なる)
 

業界トップであるフィリピンのセブンイレブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが51.56%を所有(2013年9月末現在)するフィリピン・セブン社(PSC)によって運営されている。    PSCは1982年11月に設立され、同年12月に米国テキサス州ダラスのサウスランド社(その後セブン-イレブン社に社名変更)からフィリピンでのセブン-イレブン運営ライセンスを獲得。1998年2月4日に、フィリピン証券取引所(PSE)に上場した。


 このPSCの2013年度9カ月間のグループ総収入は前年同期比30%増の125億ペソ、PSC営業収入は同26%増の117億ペソ、商品売上高は同22%増の104億ペソ、純利益は同92%増の4億 3,095万ペソと大幅増収増益決算となった。年前半の夏の訪れが早く高温であったこと、新規出店効果、商品構成見直し、効率化、公共料金支払いやクレジットカード取り扱い拡大などによる一層の顧客 利便性向上にくわえ、5月13日投票の中間総選挙特需などにより好決算となった。    

 フィリピンでのセブンイレブン第1号店は、1984年2月にケソン市エドサ通り沿いにオープンした。当初の出店ピッチは鈍かったが、2000年の小売業界規制緩和を契機に出店ピッチが速まった。そして、2006年末287店、2007年末311店、2008年末368店、2009年末447店、 2010年末551店、2011年末689店、2012年末829店、そして2013年6月末893店、9月末937店(前年同月末比20%増)と推移している。また、ウエブサイトによると、直近の店舗数は989店に達しており、2013年末までには1000店という目標に沿った推移となっている。


 一方、フィリピンのミニストップは、ロビンソンズ・コンビニエンス・ストアーズ(RCSI)によってフランチャイズ展開されている。RCSIは、三菱商事、ミ ニストップ株式会社、ゴコンウェイ・ファミリー傘下のロビンソンズ・リテイル(RRHI)グループとの共同事業である。1997年にRCSIとミニストッ プ本社との間でカントリー・フランチャイズ契約が締結された。なお、RHHIは、今年11月11日にフィリピン証券取引所(PSE)に新規上場された。  

 ミニストップは2011年から 2012年にかけては、フィリピンでの店舗立地戦略の見直しを優先させたようだ。2011年末の店舗数は327店であり、2012年1年間では10店の増 加にとどまった。しかし、2010年12月末の332店から2011年6月に一旦320店まで減少した後に再増加に転じており、2012年末の店舗数は 337店に達し、2010年末を上回ってきた。そして、2013年9月末354店。10月末362店と出店ピッチが高まりつつある。  

 このほど発表されたRRHIの2013年9カ月間(1月~9月)の事業報告書によると、フィリピンのミニストップの9カ月間のグループ総売上高は前年同 期比6.7%増の46億6,420万ペソ、営業収入は同9.4%増の30億8,290万ペソであった。     

 また、ファミリーマートのフィリピン1号店は、今年4月に、マニラ首都圏マカティ市アヤラセンターのショッピングモールグロリエッタ3にオープンした。フィリピンに進出するに当たっては、ファミリーマートは、伊藤忠商事、フィリピンのアヤラ・グループとルスタン・グループの折半合弁会社SIAL CVSリテイラーズ社(SIAL)とともに、フィリピンにおけるファミリーマート店舗の展開を目的に、「フィリピン ファミリーマート CVS社.」(PFM)を、昨年11月に設立した。    

 すなわち、フィリピンにおいては、フィリピン最大規模の財閥で金融・不動産・通信・電機・水処理など幅広い事業を手掛けるアヤラ・グループと、フィリピンを代表する小売グループであるルスタン・グループの共同出資により設立されたSIALをパートナーとし、アヤラ・グループの持つ店舗物件情報や店舗開発に関する豊富なノウハウや、ルスタン・グループの持つフィリピン国内における小売業のノウハウなどを共有できるため、よりフィリピン国内に根差した店舗運営と早期の店舗展開が実現できるものと期待される。    

  PEMの本社はマニラ首都圏マカティ市、当初資本金は2億7,700万ペソ(約6億3,000万円)、出資比率はSIAL60%、ファミリーマート37%、伊藤忠商事3%である。PFMは東南アジアにおいて、タイ、ベトナム、インドネシアに次ぐ4カ国目の現地法人である。
 

 10月末のフィリピンのファミリーマート数は16店に達している。2013年度内に30店、5年以内に300店体制を構築する方針が表明されているが、順調に拡大しているといえる