大手不動産企業の好調続く、9カ月間で二桁増益に
2013/11/28
アヤラ30%増の86億ペソ、メガワールド16%増の65億ペソ
依然住宅ブーム、通年でも史上最高益連続更新期待
フィリピン証券取引所(PSE)上場の不動産企業の2013年度9カ月間(1月~9月)決算がほぼ出揃った。
フィリピンの不動産ブームは依然継続しており、高水準の不動産販売、賃貸料上昇、金利低下などにより、大手不動産各社の業績も総じて好調であった。一部に不動産バブル懸念台頭、中央銀行(BSP)による各金融機関の不動産融資の実態調査厳格化、一部企業の増益率の鈍化等の動きはあったものの、依然、住宅など不動産ブームが続いているといえる。9カ月間の主要各社の動向は以下の通り(個別企業の詳細は報告済み)。
最大手アヤランドの収入は前年同期比38%増の577億ペソ、報告純利益は同28%増の108億ペソ、株主帰属純利益は同30%増の86億ペソと二桁増加した。まず不動産開発事業収入が前年同期比51%増の370億ペソと大幅増加した。その主力の住宅事業収入は同23%増の282億ペソ、予約販売額は同17%増の680億ペソと高水準、住宅ブームを反映した結果となった。ショッピングセンター・オフィスビル賃貸料収入も同18%増の260億ペソ、ホテル・リゾート事業収入も同62%増の29億ペソと総じて好調であった。
なお、アヤラランドの2012年通年の収入は前年比23%増の545億ペソ、報告純利益は同28%増の103億ペソ、帰属純利益も同27%増の90億ペソと二桁増加した。そして、報告純利益、株主純利益ともに3年連続での最高益更新となった。2013年もこの勢いを継続させており、4年連続での史上最高益更新となる可能性が高まっている。
2番手のメガワールドの収入は前年同期比12%増の267億ペソ、報告純利益は同15%増の66億ペソ、帰属純利益は同16%増の65億ペソに達した。住宅販売(マッキンリー・ヒル、イーストウッド・シティ、ニュー ポート・シティ、アップタウン・ボニファシオなど)が堅調であったうえ、BPOビルや商業スぺース賃貸料が同20%増の43億ペソと大幅増加した。予約販売額も同20%増の465億ペソと好調であり、年間の業績も堅調なものとなりそうである
急成長企業のセンチュリー・プロパティーズ・グループ(CPG)収入は同12%増の81億ペソ、報告純利益、帰属純利益ともに同12%増の16億ペソに達した。予約販売額も181億ペソと高水準であったことから、2013年通年でも堅調な業績が期待できる。
フィルインベスト・ランドの収入は前年同期比22%増の93億ペソに達した。不動産販売額が同30%増の70億ペソへと大幅増加、PBComタワーやノースゲート・サイバーゾーンなどからの賃貸料収入も同8%増の15億ペソと堅調であった。報告純利益は同22%増の24億3,820万ペソ、帰属純利益も同22%増の23億9,027万ペソと二桁増益決算 となった(不動産各社の2013年度9カ月間報告書などより)。
なお、国際的な総合不動産コンサルティング企業であるコリアーズ・インターナショナル(コリアーズ)によると、今第3四半期のマニラ首都圏マカティ中央ビジネス区(CBD)の平均土地価格は1平米当たり32万2,360ペソで前期から6.0%上昇、今後1年間では7.8%上昇する見通し。ボニファシオ・グローバル・シティ(フォートボニファシオ)地区の平均土地価格は前期比3.1%増の同25万4,500ペソ、今後1年間では9.9%上昇する見通しとなっている。この面からも不動産業界の業績続伸が期待できる。
首都圏主要地区土地価格推移(単位:万ペソ/ ㎡)
地区 | 13年Q2 | 13年Q3 | 対前期伸び率 | 14年Q3(予) | 年間変化率予想 |
マカティCBD | 28.3~32.5万 | 30.0~34.5万 | 6.0% | 31.9~37.5万 | 7.8% |
オルティガスセンター | 10.5~17.2万 | 10.8~17.4万 | 1.9% | 11.8~18.2万 | 6.1% |
BGC | 20.1~29.3万 | 20.7~30.2万 | 3.1% | 22.6~33.3万 | 9.9% |
首都圏高級3ベッドルーム住宅資産価値(単位:ペソ/ ㎡)
地区 | 13年Q2 | 13年Q3 | 対前期伸び率 | 14年Q3(予) | 年間変化率予想 |
マカティCBD | 8.7~17.0万 | 8.9~17.5万 | 2.6% | 9.6~18.9万 | 7.9% |
ロックウェル | 10.6~15.9万 | 10.7~16.2万 | 1.5% | 11.5~17.5万 | 7.4% |
BGC | 9.8~15.7万 | 10.1~15.9万 | 1.9% | 10.7~16.9万 | 6.1% |
(出所:コリアーズ・インターナショナル資料、注:BGC = ボニファシオ・グローバルシティ)
« ピツワン前ASEAN事務総長、JICA研究所特別招聘研究員に就任 | 9カ月間の投資認可額、24%増の4,557億ペソ »