パナソニック、フィリピンでも復調、大幅増益

2013/11/21

PMPCの上半期純利益5.3倍の8,701万ペソ
株価6.19ペソ、時価総額26億ペソ(58億円)

 

 

パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズ(PMPC、会計期末3月、本社:リサール州タイタイ)が、2013年度上半期(13年4月~9月)報告書を提出した。

 


 PMPCの2013年度上半期の売上高は前年同期比4.8%増の36億2,611万ペソに達した。好調なフィリピンの内需、PMPCの販売促進効果、販売代理店の拡販努力などにより増収となった。具体的には、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、エアコン等の家電製品の売り上げが増加した。    

 損益面では、増収効果やコスト抑制効果などで、総利益が同比4.2%増の10億0,916万ペソに達した。販売費が同1.4%増の6億1,948万ペソ、一般管理費が同2.5%増の2億8,967万ペソにとどまったことなどで営業利益は同32.6%増の1億ペソへと二桁増加となった。さらに、その他損益が1,223万ペソの黒字となり、前年同期の3,743万ペソの赤字から急改善した。前年同期は84人の早期退職者への割り増し退職金が発生したことで、その他損益がマイナスとなったという経緯がある。税金引き当てが同17.7%増の2,523万ペソにとどまったこともあって、純利益は同426%増(約5.3倍)の8,701万ペソ、1株当たり純利益も同5.3倍の0.21ペソへと急増した。
 

 主要部門の動向に関しては、主力の消費者製品(家電・AVなど)の売上高が同7.1%増の34億3,454万ペソ(構成比94.7%)に達した。その営業利益は同36.2%増の1億1,999万ペソへと二桁増加した。一方、ビジネス製品(通信・セキュリティー関連機器など)の売上高は同27.3%減の1億5,786万ペソ(構成比4.4%)、その営業利益は同56.9%減の186万ペソと低調であった。
 

PMPCの2012年度の設備投資額は同58.3%増の1億1,728万ペソであった。今後、一層の生産効率化のための投資実施や環境配慮型製品(エコ製品)積極投入などによる業績向上を目指している。

 

PMPCの2013年度上半期の主要部門の売上高・損益動向(単位:万ペソ)

部門 GCMS(消費者製品) SNC(ビジネス製品) その他 総合計
主要製品 家電・AV等 通信・安全機器等 その他 全商品
売上高 343,454 15,786 3,370 362,611
前年同期比 7.1%増加 27.3%減少 6.0%減少 9.8%増加
構成比 94.7% 4.4% 0.9% 100.0%
         
営業損益 11,999 186 -2,184 10,000
前年同期比 36.2%増加 59.6%減少 赤字26.6%拡大 32.6%増加
前年同期実績 8,811 459 -1,725 7,545

GCMSとはグローバル・コンシューマー・マーケティングセクターの略

SNCとはシステム・ネットワーク&コミュニケーションの略

その他にはES(環境ソリューション)も含む (出所:PMPC資料より作成)
 

なお、パナソニックのフィリピンにおける製造・販売拠点であるPMPCは、フィリピン初の日系合弁家電企業であり、長い歴史を有している。

 PMPCの起源は、1963年5月に設立されたフェスティバル・マニュファクチャリング(FMC)である。FMCは1965年に、プレシジョン・エレクトロニクス(PEC)と社名変更した。このPECと松下電器産業(MEI、社名は当時)が1967年にフィリピンで合弁家電企業を設立した。当初、合弁企業名はPECだったが、25年後の1992年にマツシタ・エレクトリック・フィリピン(MEPCO)と変更された。さらに、2005年に現社名PMPCへと再変更された。すなわちパナソニックは、フィリピンで45年以上もの長い歴史を有していることとなる。
 

この間、フィリピンで初めての非水銀電池やフロンガス不使用の冷蔵庫の生産、家電メーカーとして初めてとなるISO9002、ISO14001認証取得など輝かしい成果を上げてきた。また、フィリピン家電業界をリードする一方、社会貢献活動やパナソニックの「アジア大洋州エコアイディア宣言」に沿った環境保全活動なども推進している。
 

 1983年1月にはフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。現在、PMPCは額面1ペソの普通株式を約4億2,272万株発行している。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は、2013年9月末時点で79.96%である。一方、浮動株比率は15.76%となっている。
 

 PMPCのPSEでの直近株価は6.19ペソ。これをベースにすると、直近の時価総額は26億ペソ(約58億円)である。PSE算出の株価収益率(PER)は約37倍。この1年間の高値は6.75ペソ、安値は4.50ペソである(パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズの2013年度上半期報告書などより)。