フィリピンのオフィス賃貸料、一段と上昇

2013/11/11

マカティ高級物件、今後1年で8.6%値上がりへ
1平米950~1,290ペソに:コリアーズ予想

 

 世界中のマーケットにおいて総合的な不動産の コンサルティング業務を行っているコリアーズ・インターナショナル(コリアーズ)が、フィリピン不動産市場概観2013年第3四半期(7~9月)動向及び今後の見通しを発表した。


 マニラ首都圏で2013年に供給予定の新オフィス面積約56万平米のうち、第3四半期現在、70%超が完成し、その大部分がボニファシオ・グローバル・シティ(BGC、フォートボニファシオ)に集中している。当期、BGCでは主としてBPO(業務受託)企業向けに8キャンパス・プレース・タワー、SMオーラ・オフィスタワー、グローブテレコム・ビル等5つのビル(合計利用可能面積:約10万5,000平米)が市場に出された。


 一方、マカティ中央ビジネス区(CBD)の年内のオフィス供給量は約283万平米で、14年第2四半期に完成予定のVコーポレートタワー(1万5,300平米、サルセド・ビレッジ、レビステ通り)が加算されれば285万平米超になる見通し。しかし2015年には新たなオフィス供給計画はなく、長期的に見て供給量は横這い状態となるもよう。


 マカティCBDのオフィス需要は、ディベロッパーが販売を見込んで空きビルにしているアルファランド・マカティ・タワーの存在にもかかわらず、非常に堅調である。全クラスのオフィス空室率は2.8%と低く、前期から0.7%ポイント低下。主にプレミアム物件の空室率の減少が目立った。.プレミアム、A クラスの物件は一年後更に需要が高まる見通し。


 オフィス月間賃貸料は高い需要の影響で当期も値上がりが続いた。プレミアム物件の平均賃貸料は前期比1.5%増の1,030ペソ/平米であった。コリアーズは、今後12カ月間(14年第3四半期)にプレミアム物件で8.6%、A・Bクラスで5.3%、5.7%超上昇すると予想している(13年11月8日のコリアーズ・フィリピンズ発表より)。

 

マカティCBDオフィス平米当たり月間賃貸料(単位:ペソ/

物件タイプ 13年Q2 13年Q3 対前期伸び率 14年Q3(予) 年間変化率予想
プレミアム 860~1,170 875~1,185 1.5% 950~1,290 8.6%
Aクラス 580~910 595~935 2.7% 645~970 5.3%
Bクラス 455~620 465~635 2.3% 495~665 5.7%

 


マカティCBDオフィス空室率

物件タイプ 13年Q2 13年Q3 14年Q3(予)
プレミアム 4.9% 2.9% 1.9%
Aクラス 7.9% 7.7% 5.2%
Bクラス以下 1.9% 1.3% 2.4%
全クラス 3.5% 2.8% 3.0%

 


マニラ首都圏のオフィスストック&新規供給予想(単位:

地区 12年末総面積 13年供給 14年供給 15年供給 合計
マカティCBD 2,771,784 68,131 15,288 - 2,855,203
オルティガス 1,175,350 66,999 39,773 75,072 1,357,194
BGC 747,116 229,717 137,236 154,214 1,268,283
イーストウッド 313,864 - - - 313,864
アラバン 303,866 31,131 87,210 54,030 476,237
その他 872,983 156,007 144,767 232,470 1,406,227
合計 6,184,963 551,985 424,274 515,786 7,677,008

(その他:マニラ、パサイ、マンダルーヨン、ケソン市、BGC=ボニファシオ・グローバルシティ)

 

マカティCBDオフィス資産価値(利用可能エリア)(単位:万ペソ/

物件タイプ 13年Q2 13年Q3 対前期伸び率 14年Q3(予想) 年間変化率予想
プレミアム 13.2~13.9万 13.4~14.2万 1.5% 14.5~15.0万 7.2%
Aクラス 7.2~9.9万 7.4~10.1万 2.4% 7.4~10.1万 4.3%
Bクラス 5.1~7.0万 5.3~7.1万 1.8% 5.5~7.4万 4.9%

(上記の表は全てコリアーズ・インターナショナル資料より作成、予想も同社によるもの)