三菱自動車、フィリピンを新中核市場と位置付け

2013/11/06

アジア中心とする新興国市場の収益拡大に注力

 

 

三菱自動車は、11月6日、2014年度から2016年度までの3年間を対象とする新たな中期経営計画「ニューステージ2016」を発表した。

 自動車業界を取り巻く過去3年間の環境は、2011年の東日本大震災やタイにおける洪水等の自然災害、また超円高の為替環境など、大変厳しいものであった。そのような環境にあって、三菱自動車グループは、現中期経営計画「ジャンプ2013」において、新興市場と環境対応への経営資源の集中、並びにコスト構造の抜本的な改革を進めることで、着実に収益力の向上を実現してきており、昨年度(2012年度)は経常利益・当期利益ともに過去最高益を更新するに至った。「ジャンプ2013」の最終年度となる本年度(2013年度)についても、昨年度実績を上回る収益を達成できる見通しであり、新たな成長ステージに移行する準備が整ったと考えている。

 来年度(2014年度)からの3年間においては、「ジャンプ2013」を通じて強化してきた経営基盤をベースに、更なる成長を目指すこととなる。それに当たっては、三菱自動車が強みとするピックアップトラック・SUV・クロスオーバー系車種を戦略商品として活かしながら、世界的に高まりを見せる環境対応技術や安全対策技術等に対するニーズにも確実に応えていくこと、そして、アジア市場における中長期的な成長力を確実に自社に取り込んでいくことが鍵になると考えている。

 これらの具現化のため、「ニューステージ2016」においては、「戦略商品投入による売上高の増大」、「三菱自動車らしさの追求」、「アセアン地域の生産体制強化」、「新興国に強みを持つSUV系ブランドの確立」、「協業を通じた経営リソースの有効活用」の5つの基本方針の下、主要施策として、 (1) 戦略商品投入による売上高の増大、(2) 次世代技術開発の推進、(3) 地域戦略の深掘り、(4) 事業構造の改革、(5) 安定した経営基盤の確保、(6)品質改革への取り組みとをいう6つのテーマに取り組んでいく。

  地域戦略の深掘りにおいては、アジア重視、ASEANではフィリピンを新たな中核市場としてとらえるなどの戦略が以下のように掲げられている。

 三菱自動車グループは、これまで新興市場での事業強化に向けて積極的に取り組んできており、特に、アセアン、中国、ロシアではそれぞれ新工場の立上げや合弁会社での生産を開始するなど、今後、各地域での収益を拡大するための基盤を整えてきた。これらの施策効果を着実に具現化させ、アジアを中心とした新興市場における事業の売上高および収益の拡大を更に推進していく。

 中でもアセアン地域では、三菱自動車が強みを持つタイ・インドネシアを中心に事業の更なる発展を目指すほか、フィリピンを両国に続く中核市場と位置付け事業強化を図っていくことで、各国の需要動向に応じて新型車の投入も含めて生産・販売を行えるフレキシブルな体制を築いていく。

 なお、三菱自動車のフィリピン拠点である三菱モーター・フィリピンズ(MMPC)は、今年2月1日に創業50周年を迎えた。このMMPCはフィリピン四輪車市場において第2位の座を強固にしつつある。MMPCの2012年の販売台数は前年比7%増の3万4,915台に達し た。市場シェアは19%で、首位のトヨタモーター・フィリピンズの6万5,396台(シェア35.5%)に次ぐ第2位の座を維持した。そして、6年連続の販売台数増加となった。

 MMPCは50周年の2013年の販売台数目標を、前年比23%増の4万3,000台と設定している。フィリピンの好景気、新モデル投入効果、販売促進 強化、供給問題解消などにより二桁増加を見込んでいる(13年11月6日の三菱自動車工業株式会社ニュースリリースなどより)。