ついに日本方式採用へ、比地上デジタルTV放送
2013/10/14
12月のアキノ大統領訪日時に正式発表との見方も
10月28日には地デジ測定・試験機器の入札予定
フィリピンにおける地上デジタルテレビ放送(地デジ)方式の規格として、ようやく日本方式(ISDB-T方式)が採用される見通しとなった。
アキノ大統領が、扱いやすさやセットトップボックス(チューナボックス)のコストの安さなどを理由に、日本方式採用という方針を表明したようである。これを受けて、フィリピン国家通信委員会(NTC)は、この10月末に、大手テレビ局であるABS-CBNやGMAネットワークなど関係者からの最終意見聴取会を開催する。
10月4日には、10月28日を応札最終期限とする地デジ測定・試験機器の調達入札の実施を発表した。NTCは従来から日本方式採用を推奨している。今回の最終意見聴取会のあと、日本方式採用が決定され、12月に予定されているアキノ大統領の日本訪問時に正式発表との観測も広まっている。
NTCは、アロヨ政権末期の2010年6月11日に、フィリピンにおける地デジ方式の規格として日本方式を採用する規則に署名した。これが実現すれば、 フィリピンは、日本以外のアジアで最初に日本方式を採用する国になるはずであった。ちなみに、フィリピンは2015年にデジタル方式への変更完了を目標としている。
その後、アキノ政権へと体制が変わり、一部に欧州のDVB改良方式が高パフォーマンスであるとの評価が高まり、この欧州方式採用を再検討する要求動が強まった。そのこともあって、現時点でも、大統領による日本方式採用との最終署名には至っていない。
国際標準となっている地上デジ放送の規格には、大きく分けて日本方式、欧州方式、米国方式、中国方式の4方式が存在する。日本方式は、1つの送信機で固定端末向けと携帯端末向け放送を実現し、効率的な設備投資でネットワーク構築が可能といった優位性がある他、また、災害時や停電時のような状態であっても、電池で稼働しいつでもどこでも受信できる携帯端末向け放送や緊急警報放送等の機能は、災害対策のツールとしても有効である。
ただし、日本方式は技術的には優れているが標準化競争に出遅れた。日本方式はこれまで上記のような南米諸国しか採用例がなく、欧州、豪州、インドなど30カ国以上で採用されている欧州方式、北米や韓国という大市場を制した米国方式に比べ見劣りがしていた。
このような状況下で、フィリピンNTCが日本方式採用を支持しているのは、技術的優位性、島国で災害が多いという日本との類似性などが背景である。決定的な要因は日本がセットトップボックス(チューナボックス)の低コスト化に成功したこととも報じられている。これまで、日本方式は、南米諸国のほか、モルディブ、ボツワナなどで採用されている
<日本方式採用各国の採用時期>
・ブラジル 2006年6月
・ペルー 2009年4月
・アルゼンチン 2009年8月
・チリ 2009年9月
・ベネズエラ 2009年10月
・エクアドル 2010年3月
・コスタリカ 2010年5月
・パラグアイ 2010年6月
・ボリビア 2010年7月
・ウルグアイ 2010年12月
・モルディブ(国営放送) 2011年10月
・ボツワナ 2013年2月