海苔の福井、フィリピンで乾燥エビ加工・輸出

2013/10/10

PEZA登録企業のシーフーズ・フクイが稼働

ラグナ・テクノパークに無公害型工場を設置


海苔、干しエビ、昆布などの海産物加工大手企業である株式会社福井(本社:三重県桑名市)がフィリピンに進出した。

 



福井の子会社であるシーフーズ・フクイ・フィリピン(SFPI)は、ラグーナ・テクノパーク(ラグーナ州サンタ・ロサ)にPEZA登録企業として進出した。そして工場が、8月にPEZAの最終検査を終え、完工、操業を開始した。

SFPIはフィリピン産乾燥エビの加工・輸出という事業でスタートした。 乾燥エビは、生のエビに比べると、香りやうまみの面で、非常に優れている。特にあられ、おかき等の生地練り込みやスナック類の風味付けなどで根強い人気がある。

フィリピンはこれらの乾燥エビに利用されるアキアミ(サクラエビ科に属する小型のエビ、オキアミとは異なる)やチヒロエビの有力産地である。福井もこれまでもフィリピン産乾燥エビを調達していた。しかし、現地での乾燥過程における異物除去や衛生管理に問題があり、桑名で乾燥エビの混入異物除去を行わざるを得なかった。

しかし、日本での異物除去のコストが高いことなどから、フィリピンで異物徐去、加工を行い安心できる乾燥エビの供給を行うことを決定、SFPI設立に至ったのである。

SFPIでは、風力選別機(風の力で軽い物と重い物を分ける)、静電気除去機(静電気の力で軽い異物を除く)、色彩選別機(CCDカメラで特定の色の異物を除去)、目視選別、金属検出機、磁石により、エビ以外の魚や木くず、ガラス、小石、毛髪、テグス、樹脂片などを除去している。

このうち、目視選別は、幅広のコンベアにエビを流して行なう。これらの異物は、ある程度既存の選別機で除去できるが、完全ではないため、最後はどうしても人の手と目による選別がかかせない。したがって、目視選別は重要な役割を担っている。眼の良い豊富な労働力を有するフィリピンには適したプロセスであるといえる。

SFPI工場には日本から最新設備を導入し、乾燥エビの衛生・品質管理に万全を期している。上記のように乾燥エビに混入した不純物の除去から、乾燥エビの選別・選定、砂鉄除去、殺菌等の全工程を経て、安全な商品として出荷している。

水産物加工は、大量の排水排出、水質汚染というイメージを持たれており、SFPIの創立や工場建設申請過程などにおいては、PEZA、環境資源省、ラグナ湖管理庁などの監督機関、ラグナ・テクノパークなどから公害発生という懸念を持たれたようだ。

しかし、上記のように、SFPIの工程は水を使用しておらず、従来の水産物加工のイメージとはかけ離れたものである。すなわち、排水がほとんど発生しないのである。したがって、水関連の公害が発生することはあり得ない。また、エビのにおいもオゾン処理などで消臭されており、工場の外部ではエビのにおいは全くない。

SFPIは、フィリピンの天然水産物を加工・輸出するという従来のPEZA企業とは異なる特色を有しており、フィリピンの第1次産業発展支援という大きな貢献を行うことになる。

SFPIは、近い将来に、海苔の加工も開始する計画である。日本の親会社である福井は日本で高級寿司のりを製造販売しており、そのノウハウをフィリピンで活かしていく方針でもある。