ムーディーズ、フィリピンを投資適格へ引上げ

2013/10/04

世界の3大格付機関全てが投資適格で一致
格付見通しもポジティブ、更なる引上げ期待

米国系有力格付機関であるムーディーズ・インベスターズ・サービス(ムーディーズ)は10月3日に、フィリピンの格付を引き上げた。

ムーディーズは、フィリピンの格付をこれまでの「Ba1」から「Baa3」へと一段階引き上げた。「Baa3」は投資適格ステータスのなかでは最低の位置づけではあるが、曲りなりにも投資適格になったことに大きな意義がある。ムーディーズは、最近のフィリピンの高成長、財政収支改善、対外負債対GDP比率の改善、政治的安定などを高く評価している。

ムーディーズは昨年10月29日に、フィリピン格付を「Ba2」から「Ba1」へと引き上げた。そして、ムーディーズの調査部門であるムーディーズ・アナリティクスは、今年5月の時点で、フィリピンを「アジアのライジング・スター(アジアの成長株、アジアの希望の星)」と評していた。これにより、ムーディーズも早晩、フィリピン格付を投資適格へと昇格させるのではという期待が高まっていたが、ついに実現したのである。

さらに注目すべきは、ムーディーズがフィリピン格付を引き上げるとともに、格付アウトルック(見通し)をポジティブ(強気)としたことである。格付引上げ時には、格付けアウトルックは「ステーブル(安定的)」とされることが多いが、今回は「ポジティブ」とされた。格付けアウトルックの「ポジティブ」は、「近い将来に格付引上げの可能性がある」という意味であり、フィリピン格付のさらなる引上げが期待される。

なお、ムーディーズと並ぶ米国有力格付機関であるS&Pは、今年5月2日に、フィリピンの長期外貨建て債務格付をそれまでの「ダブルBプラス(BB+)」から「トリプルBマイナス(BBB-)」へと1段階引き上げ、投資適格とした。

一方、欧州系の有力格付機関フィッチ・レーティングス(フィッチ)は今年3月27日に、フィリピンの長期外貨建て発行体デフォルト格付(IDR)を、トリプルBマイナス(BBB-)へと一段階引き上げた。すなわち、世界三大格付機関の中で最初にフィリピンを投資適格と位置付けたのである。

いずれにしても、世界の3大格付機関が、そろって、フィリピンを投資適格としたことも注目される。今後の対フィリピン投資などにも好影響を及ぼすことになりそうだ。10月3日のフィリピン株式市場、ペソともに上昇した。

なお、日本の有力格付機関である日本格付研究所(JCR)は、今年5月7日に、フィリピン格付をそれまでのトリプルBマイナス(BBB-)から、トリプルB(BBB)へと引き上げている。すなわち、既に、投資適格最低基準の一段階上となっている。日本の格付機関は、欧米格付機関に比べ、フィリピンに対する評価がさらに好意的といえよう(13年10月3日のムーディーズ・インベスターズ・サービスのニュースリリースなどより)。