兼松、フィリピンで風力発電所建設へ
2013/10/03
海底電力ケーブル含む100億円の受注
兼松(本社:東京都港区)は、フィリピンの独立発電事企業「トランス アジア リニューワブル エナジー社Tarec)」より総出力54MW(メガワット)のサンロレンソ風力発電所のフルターンキー(一括請負)契約、及び同風力発電所で発電した電力を送電する海底電力ケーブルの敷設・埋設工事込み納入契約を受注した。
Tarecは、フィリピンのコングロマリットであるフィンマ・グループの再生可能エネルギー発電事業会社で、主機である風力タービン、発電機はスペインGamesa Eolica, S.L. Unipersonal(Gamesa)が製造・納入・据え付けし、フィリピン大手建設会社「サンタ クララ インターナショナル社」率いるコンソーシアムが設計・土木工事・電気設備の納入・据え付け工事を請け負う。
また、海底電力ケーブルは、日本J-パワー システムズ製138kV 2.985kmをギマラス島から海を隔てた西方にある消費地パナイ島の間の海底に敷設する。
受注総額は100億円超、工期は16ヶ月、2014年末に完工予定である。なお、プロジェクト資金はフィリピン開発銀行及び市中銀行による協調融資を利用する。
兼松は、再生可能エネルギービジネスに積極的に取り組んでおり、地熱・太陽光発電設備では、これまで10件、約530MWの受注実績があり、フィリピンのほかインドネシア、コスタリカに納入している。風力発電建設は、風力タービンメーカーが請負工事一式を取り仕切ることが一般的であるが、兼松の再生可能エネルギー発電設備とフィリピンにおける納入実績がTarec及びGamesaにより評価・信頼され、今回の受注に至った。
フィリピンでは、固定価格買取り制度(Feed In Tariff)を2010年に公布、2012年7月に再生可能エネルギー電力料金を総電力量760MW(同国発電設備容量の約7%)に対し設定導入。積極的に輸入エネルギーを代替する自国再生可能エネルギーの普及を促進していることもあり、今後、長期的な市場拡大が期待されている。
風力発電は、化石エネルギー発電と異なりCO2排出量がなく地球環境保護の面で大きな利点があるだけでなく、発電所の建設は、化石発電所と比較して短期間での完成と発電が可能である。また、昨今では、風力タービン技術の進歩とコストの低減により年間平均約20%の急成長導入設備となっている。
日本やフィリピンなどにとって、輸入エネルギー依存度を軽減する時代のニーズに合った電源でもあり、兼松では、風力発電ビジネスを再生可能エネルギービジネスにおける主要分野と位置付け、引き続き優良風況国において積極的に拡大していく方針である。今後も再生可能エネルギーと環境ビジネスへの取り組みを通じて、地球環境の長期的な保全に貢献して行く方針でもある。
なお、Tarecは電力・資源開発関連事業に従事するトランス-アジア オイル & エナジー デベロップメント社」(1969年設立のフィリピン証券取引所上場企業)の再生可能エネルギー発電事業を専門とする100%子会社として1994年に設立された(13年10月3日の兼松株式会社ニュースリリースより)。