ミンダナオ・サンボアンガを多数の武装勢力が襲撃
2013/09/09
治安部隊と交戦、空港閉鎖や死者発生等混乱
日本外務省、在比日本大使館が注意喚起
日本外務省は9月9日に、「フィリピン:ミンダナオ島における誘拐及びフィリピン政府治安部隊とモロ民族解放戦線の衝突に伴う注意喚起」というタイトルの渡航情報(スポット)を発出した。また、在フィリピン日本大使館 も同様な注意喚起を行った。
それらによると、9月9日、フィリピン南部ミンダナオ島サンボアンガ地域において、フィリピン治安部隊と100名以上のモロ民族解放戦線(MNLF)が衝突し、現地の民間人複数名が人質となった。現地報道ではこの衝突により少なくとも6名が死亡したとのことである。また、サンボアンガ空港が閉鎖された。
このような事態を受け在フィリピン米国大使館は、同日付で自国民に対してサンボアンガ半島地域への渡航延期を勧告する緊急メッセージを発出した。
ミンダナオ島では、8日に、中部マギンダナオ州においても、イスラム武装勢力とみられる集団が爆弾を爆発させ、負傷者が生じる事件が発生している。
これらの事件の背景として、フィリピン政府とモロ・イスラム解放戦線(MILF)との間の和平交渉に反対するイスラム武装勢力の一部グループが、同交渉を妨害する目的で誘拐や爆発事件を起こしている可能性がある。同様の事件は今後も継続的に発生するおそれがあり,対象地域も拡大する可能性もある。
なお、フィリピン政府は2012年10月に、モロ・イスラム解放戦線(MILF)との間で和平の枠組みで合意した。MILFはMNLFから分派した組織であり、MNLFのヌル・ミスアリ元議長などはこの枠組み合意には反対していた。
日本外務省は、これらの地域に対して、外国人誘拐の脅威に係る注意喚起や「渡航の延期をお勧めします」の渡航情報(危険情報)等を発出している。今回の事態を踏まえ、改めてこれらの情報を確認するとともに、やむを得ずこの地域に渡航・滞在する場合には、以下の基本的な安全対策を念頭に置き、特に慎重な行動を取ることなどを促している。
1.日頃から現地治安情勢の収集に努める。
2.外国人は裕福であると常に思われていることを念頭に、ターゲットにされないよう慎重な行動を心がける。
3.行動予定等を不特定多数の人間に言ったり知られたりしないよう心がけ、不用意に身辺情報を流さない。
4.毎日の行動がパターン化しないよう注意する。
5.単独行動を避け外出の場合は、周囲に不審者、不審車両がいないか、尾行や監視がないか常に注意する(13年9月9日の日本外務省発表などより)