日本の格付機関のフィリピン評価、一段と上昇へ
2013/08/03
格付投資情報センター、トリプルBへ引上げの動き
日本格付研究所は既にトリプルB、欧米機関に先行
日本の有力格付機関である格付投資情報センター(R&I)は8月2日に、フィリピン格付の維持とその方向性の引き上げを発表した。
具体的には、R&Iは、フィリピンの外貨建発行体格付に関して、現行の「トリプルBマイナス(BBB-)」を維持した。しかし、格付の方向性に関して、現行の「安定的」から「ポジティブ」へと引き上げた。格付の方向性における「安定的」は「近い将来の格付け変更の可能性が薄い」という意味であり、「ポジティブ」は「近い将来の格付け引き上げの可能性が高い」という意味である。すなわち、R&Iが、フィリピン格付の引き上げの検討に入ったといえる。
R&Iによるフィリピンの現行格付「BBB-」は、最下限ながら投資適格の範疇であり、引き上げが実現すれば、投資適格最低基準より一段階上の「トリプルB(BBB)」となる。
R&Iは、今回のフィリピン格付の方向性の「ポジティブ」への引き上げの理由として、1.海外フィリピン人就労者(OFW)からの送金に支えられて以前から堅調な消費に公共投資や輸出の伸びが加わり、経済成長に力強さが出てきた。2.一方で物価上昇率は安定している、3.経常収支の黒字が続いて外貨準備が積み上がっており、対外流動性の面での懸念は薄れている、4.財政健全化が着実に進んでおり、徐々にではあるがインフラ整備や教育投資に財政資金を回せるようになってきたことを挙げている。
そして、「2010年6月に発足したアキノ政権の下で政治が安定し、国のイメージを損なってきた西部ミンダナオの治安状況も大きく改善の方向にある。投資環境の好転を背景に、海外からの直接投資が活発化するなどして投資が持続的に拡大していくとの期待も高まっている。経済成長の基盤が確固としたものとなり、国民1人当たりの所得が着実に高まっていくメドが立てば、格上げが視野に入ろう。このため、発行体格付は維持したものの、方向性をポジティブに変更した」と説明している。
このR&Iの動きに対して、フィリピン官邸は「アキノ政権下での財政収支改善やミンダナオ和平推進などが評価された結果である。R&Iの適切かつ時宜を得たフィリピン評価を歓迎する」とコメントした。
なお、日本のもう一つの有力格付機関である日本格付研究所(JCR)は、今年5月7日に、フィリピン格付をそれまでのトリプルBマイナス(BBB-)から、トリプルB(BBB)へと引き上げている。すなわち、既に、投資適格最低基準の一段階上となっている。日本の格付機関は、欧米格付機関に比べ、フィリピンに対する評価が好意的といえよう(13年8月2日の格付投資情報センターのニュースリリースより)
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