フィリピン株式市場、調整後に再上昇基調期待

2013/06/15

主に海外要因で急落、依然国内経済基盤は良好
フィリピン株ファンドのキャピタル・アセットが見解

最近のフィリピン株式市場は、主に海外要因により、大幅な調整を余儀なくされている。

フィリピン証券取引所指数、ペソ対米ドルレートの動き(年末、もしくは月末値)

フィリピン証券取引所株価指数 ペソ対米ドルレート
  時期 年末・月末値 上昇率 年末・月末値 上昇率
2004年 1,822.83ポイント 26.38% 56.280ペソ -1.39%
2005年 2,096.04ポイント 14.99% 53.090ペソ 6.01%
2006年 2,982.54ポイント 42.29% 49.030ペソ 8.28%
2007年 3,621.60ポイント 21.43% 41.280ペソ 18.77%
2008年 1,872.85ポイント -48.29% 47.520ペソ -13.13%
2009年 3,052.68ポイント 63.00% 46.200ペソ 2.86%
2010年 4,201.14ポイント 37.62% 43.840ペソ 5.38%
2011年 4,371.96ポイント 4.07% 43.840ペソ 0.00%
2012年 5,812.73ポイント 32.95% 41.050ペソ 6.80%
2013年1月 6,242.74ポイント 7.40% 40.685ペソ 0.89%
2月 6,721.45ポイント 7.67% 40.660ペソ 0.06%
3月 6,847.47ポイント 1.87% 40.800ペソ -0.34%
4月 7,070.99ポイント 3.26% 41.155ペソ -0.86%
5月 7,021.95ポイント -0.69% 42.260ペソ -2.61%
6月(14日まで) 6,242.26ポイント -11.10% 42.810ペソ -1.28%
年初から6月14日 - 7.39% - -4.11%


 フィリピンの代表的な株価指数であるフィリピン証券取引所指数(PSEi)は、2009年63.00.%、2010年37.62%、2011年4.07%、2012年32.95%と4年連続上昇、2013年も5月央までは非常に強い動きとなっていた。5月15日には、場中瞬間値ベースで7,403.65ポイント、終値ベースで7,392.20ポイントと双方揃って史上最高値を更新した。

 しかし、5月後半からは軟調な動きと変わり、6月に入ると下げ足を速め、11日の終値は4.6%急落した。さらに、13日(12日は休場)には6.75%と約5年ぶりの大幅下落率記録、場中に6,114.08ポイントまで下落、1か月前の史上最高値からは約17.42%の大幅下落となった。そして、一時は27.17%に達した年初来上昇率も、14日時点で7.39%に縮小した。

 PSEiは14日に反発したものの、この1週間では6.86%、4週間では14.25%の下落となっている。5月末からの2週間でも11.10%の下落となっている。セクター別では、5月央までの上昇相場のリード役となってきた不動産株の下げが特にきつくなっている。不動産株指数はこの1週間で8.63%、4週間で17.14%の下落となっている。その他のセクターも、全て4週間で二桁の下落となっている。

フィリピン証券取引所のセクター別株価指数上昇率など

項目 6月14日終値 PER 1週間の動き 4週間の動き 年初来上昇率 昨年上昇率
フィリピン証券取引所指数 6,242.26 19.52 -6.86% -14.25% 7.39% 32.95%
全株指数 3,897.76 18.16 -6.04% -13.31% 5.37% 21.48%
  金融株指数 1,592.57 16.68 -6.72% -15.91% 4.37% 57.49%
  工業株指数 9,678.79 16.07 -7.33% -11.94% 9.03% 25.48%
  持株会社株指数 5,594.43 18.80 -6.73% -14.64% 8.61% 47.01%
  不動産株指数 2,469.89 24.23 -8.63% -17.14% 7.17% 55.59%
  サービス株指数 1,901.23 22.50 -3.63% -10.45% 10.24% 6.70%
  鉱業・石油株指数 15,609.24 27.34 -5.26% -11.75% -19.57% -17.43%

 (出所:フィリピン証券取引所資料より作成、PER=株価収益率はPSE基準算出数値))

  フィリピン証券取引所の指数、規模、売買額等の推移(年末・年間値
、2013年は6月14日時点の数値)

項目 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年
フィリピン証券取引所指数 1,872.85 3,052.68 4,201.14 4,371.96 5,812.73 6,242.26
年末時価総額(億ペソ) 40,692 60,291 88,611 86,970 109,301 116,280
  国内企業時価総額 24,741 39,919 68,922 72,390 94,163 99,070
  外国企業時価総額 15,952 20,372 19,689 14,580 15,138 17,210
1日平均売買額(億ペソ) 31.1 41.1 49.5 57.1 72.6 116.4
外人の売買額シェア 48.7% 32.4% 38.1% 37.8% 45.0% 51.0%
外人買越額(億ペソ) -221.6 149.2 356.2 565.2 1,099.8 535.6
PER(株価収益率) 8.95倍 23.26倍 21.32倍 16.57倍 17.97倍 19.52倍

(出所:フィリピン証券取引所資料より作成、PER=株価収益率はPSE基準算出数値)

 このフィリピン株式市場に関して、高パフォーマンスを誇る「フィリピン株ファンド」の運用会社であるキャピタル アセットマネジメント(CAM、本社:東京都千代田区内神田、代表者:杉本年史社長)が、6月13日に、大幅下落の背景や今後の見通し等に関する見解を発表した。

 それによると、フィリピン株式市場は、5月央から、中国経済の鈍化と米国連邦準備制度理事会(FRB)による金融緩和縮小に対する警戒感から軟調に推移していた。そのようなような背景のなか、米国において米国債の利回りが上昇していることや有力格付機関スタンダード&プアーズが、米国債の長期信用格付け見通しを「ネガティブ」から「安定的」へと上方修正したことから、資金がフィリピンから米国などの先進国に回帰するのではないかとの懸念が拡大、株価下落に拍車がかかった。

 CAMは、今後のフィリピン株式市場の見通しについて、「中期的に引き続き注目できるとの見方に変更はない」と概括している。その理由として、1.堅調な個人消費に加えてインフラ投資も増加していることから、今後も高い経済成長を維持できる見込みである、2.これらを背景に企業収益も順調に伸びていくことなどが期待できることなどを挙げている。
 そして、最近のフィリピン株式市場は、主に海外要因により下落しているが、フィリピンの良好な経済環境やファンダメンタルズに変わりがないことから、調整後は再び堅調に推移すると予想している。

 なお、「フィリピン株ファンド」の2013年5月末時点での過去3年間の上昇率は年率39.52%で、国際株式型ファンドのなかで第1位となっている(モーニングスター集計・発表、対象は純資産10億円以上のファンド)。それも、第2位の野村の「(オーロラF)タイ投資F」の年率32.82%、第3位のアムンディの「インドネシア・ファンド『愛称:ガルーダ』」の年率30.30%などを大きく引き離している。
 
 5月末時点の「フィリピン株ファンド」のパフォーマンスは、過去1カ月間ではマイナス0.91%ながら、3カ月間で11.59%上昇、6カ月間では46.90%上昇、そして1年間では88.08%上昇となっている。設定日(2010年5月28日)以来の上昇率は171.22%(以上、上昇率は、分配金を再投資したものとして計算)に達している((モーニングスター株式会社ウエブサイトやキャピタル アセットマネジメント株式会社の発表などより)。