サンミゲル・グループ、フィリピン航空買収か

2013/06/08

株式51%追加取得、100%子会社化との観測
 

 多角化、新規事業参i入を推進してきたサンミゲルは、航空事業にも参入、その事業基盤を拡大させつつある。

 サンミゲルは2012年に、100%子会社であるサンミゲル・エクイティ―・インベストメントを通じて、フィリピン航空(PAL)に資本参加した。現在のPALの出資比率は、フィリピン第2位の富豪であるルシオ・タン氏グループが51%、サンミゲル・グループが49%となっている。そして、サンミゲルのラモン・アン社長がPALの社長も兼任している。

 PALは近年、労働問題、コスト増、格安航空会社セブ・パシフィック航空(CEB)などの台頭などにより、経営不振を余儀なくされてきた。しかし、サンミゲルの資本参加などによる経営立て直しに着手、今後は、輸送能力増強、機体新鋭化による競争力強化を目指すとの方針を打ち出し、実際に新鋭機大量発注などを行っている。

 サンミゲルは、PALの経営により深く参画、経営立て直しピッチ加速化やCEBに奪われた航空会社首位の座奪回を目指す。サンミゲルのラモン・アン社長は、グループ企業を通じて、ルシオ・タン氏グループからPAL株式51%を追加取得する方針のようである。そして、グループとして、PALを100%支配する意向であると報じられている。

 一方、ルシオ・タン氏傘下の洋酒企業タンドゥアイ・ホールディングス(タンドゥアイ)は、2012年に、授権資本の50億ペソから250億ペソへの5倍増額、社名のLTグループ社(LTG)への変更を行い、主目的を洋酒醸造関連持株会社からルシオ・タン氏の事業統括持株会社へ変更した。すなわち、洋酒関連企業がルシオ・タン氏資産管理会社がLTGへと変身したのである。

 LTGは、ビールのアジア・ブリュワリー、洋酒のタンドゥアイ、煙草のフォーチュン・タバコ、不動産のイートン・プロパティー、商業銀行フィリピン・ナショナル・バンク(PNB)など、ルシオ・タン氏傘下の多くの企業を統括する。しかし、PALについては、LTGに組み入れないと表明している。

 LTGのミカエル・タン社長らは先週、「PALはファミリー企業の1社ではあるが、LTGグループ企業ではない。LTGは消費者関連企業を志向する」と改めて表明した。それにより、ルシオ・タン氏グループがPALを売却するとの観測が一層高まった。