今後のフィリピン株式市場、再上昇との予想

2013/06/06

健全な銀行業界、インフラ投資増加など背景に
好成績の「フィリピン株ファンド」運用会社が見解
 

   最近のフィリピン株式市場の下げがかなりきつくなっている。


 フィリピンの代表的な株価指数であるフィリピン証券取引所指数(PSEi)は、2009年63.00.%、2010年37.62%、2011年4.07%、2012年32.95%と4年連続上昇、2013年も5月央までは非常に強い動きとなっていた。5月15日には、場中瞬間値ベースで7,403.65ポイント、終値ベースで7,392.20ポイントと双方揃って史上最高値を更新した。

 しかし、5月後半からは軟調な動きと変わり、6月に入ると下げ足を速めた。6月5日には、場中に6,526.19ポイントまで下落、史上最高値からは約12%の大幅下落となった。

 このフィリピン株式市場に関して、高パフォーマンスを誇る「フィリピン株ファンド」の運用会社であるキャピタル アセットマネジメント(CAM、本社:東京都千代田区内神田、代表者:杉本年史社長)が、6月5日に、大幅下落の背景や今後の見通し等に関する見解を発表した。

 それによると、最近のフィリピン株式市場の大幅下落は、米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和策を早期に縮小するとの懸念が高まったことや日本株が急落したことなどが背景となっている。

 フィリピン株式市場において、2013年1月から5月末まで海外投資家の買い越し額は667億ペソ(およそ1,600億円)となっており、株式売買金額における海外投資家のシェアは約半分を占めている。そのなかで、バーナンキFRB議長が議会証言での質疑応答で量的緩和の縮小の可能性を示唆したことを受けて、堅調なフィリピン株式市場を支えていた海外投資家からの資金流入が減少、もしくは流出になるとの懸念からフィリピン株が売られた。加えて、5月23日以降の日本株の急落から海外投資家のリスク回避の動きが強まったことも下落幅が大きくなる要因となった。

 CAMは、今後のフィリピン株式市場の見通しについて、「今までフィリピン株式市場は、右肩上がりに昇していたことから一時的に調整する場面もあると思われる。しかし、フィリピンの経済環境やファンダメンタルズは良好であることから、調整後は再び堅調に推移しそうである」と概括している。

 5月に発表されたフィリピンの2013年第1四半期(1-3月)の実質国内総生産(GDP)は、前年比7.8%増(市場の事前予想は6%増)となり、フィリピン経済は引き続き好調であることを示す結果となった。堅調な個人消費に加え、投資が大きく伸びたことが予想を大きく上回る高い成長率につながった。CAMでは、以下の要因からフィリピン経済は以下の要因から今後も高い成長率を維持すると考えている。

1.「海外フィリピン人就労者(OFW)送金」や業務受託(BPO)産業の堅調な伸び
 今後、OFWからの送金額は年率5%程度、BPO三行は同20%程度の成長を維持していくと予想される。これらが、フィリピン経済の牽引役となりそうである。

2.インフラ投資
 フィリピンは2011~2016年中期計画において、インフラ投資の促進を計画している。アキノ大統領はインフラ投資対GDP比率を現在の2%から2020年には5%へと拡大させる方針を表明している。インフラ投資の拡大が経済成長を支えそうである。

3.銀行の健全性
 2012年12月末の商業銀行の不良債権比率は過去最低の1.87%。一方、自己資本比率は連結ベースで18.35%と、中央銀行の最低基準である10%やバーゼルⅡ合意基準の8%よりかなり高い水準にあるなど、フィリピンの銀行は世界的に見ても高い健全性を維持している。くわえて、中央銀行は不動産バブル発生防止のため、不動産融資比率上限を20%に規制するなど、金融システムは新興国の中でも強い。

4.フィリピン国債の格上げ
 世界3大格付機関のうち、フィッチとS&Pがフィリピン外貨建て国債の格付けを投資適格となる{BBBマイナス」へと引き上げた。ムーディーズもそれに続くと見られている。今後も、さらなる格付引き上げの動きが続くと期待される。フィリピンの信用力向上により、投資が増加、経済成長が加速すると期待される(13年6月5日のキャピタル アセットマネジメント株式会社発表より)。