日本、フィリピンの自動車基準認証制度整備を支援
2013/06/05
日ASEAN統合基金を活用、安全な車社会実現へ
日本の国土交通省とフィリピン運輸通信省は、6月5日、日ASEAN統合基金(JAIF)を活用して、フィリピンにおける自動車基準認証制度の整備を推進する新たなプロジェクトを開始した。
このプロジェクトは、日本からの専門家派遣等によりフィリピンにおける自動車基準認証制度の整備等に関する助言を行い、フィリピンの「国連の車両等の型式認定相互承認協定(略称)」(1958年協定)への加盟を支援するものであり、事業期間は2年を予定している。
このプロジェクトは、日ASEAN統合基金(JAIF)を活用しつつ、第8回日ASEAN交通大臣会合(2010年11月ブルネイ)において承認された「日ASEAN自動車基準・認証制度に関する協力プログラム」の具体的取組の一つとして実施される。
日ASEAN統合基金とは、ASEAN共同体設立を目指して統合を進めるASEANを支援するために、2005年に小泉総理(当時)より拠出を表明し、ASEAN事務局に設置された基金である。
フィリピン政府は、国内の自動車産業を支援することにより、自動車販売の主流を輸入車から自国生産車に転換し、さらには自国生産車の輸出を目指していくこととしている。フィリピン自動車基準認証プロジェクトにより、自動車基準認証制度の整備が推進され、その結果、より安全・安心な車社会が実現するとともに、フィリピンで高いシェアを占める日系自動車メーカーがより販売しやすい環境が整備されることが期待される。
なお、ASEANは、2015年までに「ASEAN経済共同体」の設立目標を有しており、実現に向けた具体的措置として、12の優先分野に重点を置いて、先行して統合を進めている。自動車は、この12の優先分野のひとつであり、温室効果ガス抑制等の地域的規模の課題への対応や安全・安心な車社会の実現を目指し、2015年までに域内共通の自動車基準・認証制度を構築するという目標を掲げている。
フィリピンにおいては、2007年に発出された大統領令628号により、運輸通信省(DOTC)を議長とした関係省庁及び民間・学術者の代表から構成される自動車基準及び認証制度の調和に関する委員会が設置された。しかし、上記のように1958年協定への加盟には至っていない。
ASEAN諸国では、マレーシアやタイは1958年協定に加盟しているが、フィリピンは、国内制度構築に関する課題を抱えてきた。日本は、日本自動車産業の振興・戦略的な市場拡大という観点も踏まえ、同制度のASEAN統合を推進しており、インドネシア等に対して基準策定のための支援を行ってきている。ASEAN共通の制度構築のためには、フィリピン、ベトナムの国内準備が遅れており、技術的な支援が必要とされてきた。
フィリピンでは、JICAが新しい国内の自動車基準・認証制度案の作成および、1958年協定加盟・運用に向けたフレームワーク作成のための技術的支援などを行ってきている(13年6月5日の日本国土交通省発表より)。