速報:第1四半期GDP成長率7.8%と高水準
2013/05/30
3四半期連続での7%台、GNIは7.1%成長
鉱工業10.9%、サービス7%、農林水産3.3%
国家統計調整委員会(NSCB)は5月30日に、2013年第1四半期(1~3月)のフィリピン国民経済計算統計(2000年基準)を発表した。
2010年までこの統計の尺度は、国内総生産(GDP)と国民総生産(GNP)の2本立てとなっていたが、2011年発表からGDPとGNI(国民総所得)という体系に変更された。さらに、GDP統計などにおける物価変動を除いた実質ベース産出のための基準年が従来の1985年から2000年へと変更されている。{2013年第1四半期動向}
2013年第1四半期GDP成長率(実質ベース:以下同様)は7.8%で、前期(2012年第4四半期)の7.1%(改定値:以下同様)、前年同期の6.5%から一段と拡大した。これは、政府年間目標の6~7%を上回るペースであり、3四半期連続での7%台の高成長となった。
国家経済開発庁(NEDA)によると、フィリピンの第1四半期GDP成長率7.8%は、ASEAN(東南アジア諸国連合)主要国の中で最も高い成長率である。ちなみに、インドネシアは6.0%、タイは5.3%、ベトナムは4.9%であった。そして、中国の7.7%をも上回るアジア主要国最高の伸びとなった。
インフレ沈静化傾向、セクター別構成比の5割弱を占めるサービス部門の堅調、鉱工業の高成長、政府支出や設備投資の大幅な伸びなどが寄与した。なお、季節調整済み前期比成長率は2.2%で、前年同期の2.2%と同水準、前期の1.9%からは拡大した。
一方、GNI成長率は7.1%となり、前期の6.4%及び前年同期の5.7%から拡大。OFW送金など海外からの純所得(NPI )伸び率が3.2%となり、前期の2.7%及び前年同期の1.9%から拡大した。
セクター別成長率は、鉱工業が10.9%と二桁成長、前期の8.9%、前年同期の5.3%から加速化した、製造業が9.7%、建設業が32.5%と高い伸びを見せた。また、サービス産業は7.0%成長で、前期の6.5%から拡大した。前年同期の8.4%からは鈍化したが、依然好調であった。一方、農林水産業は3.3%成長で、前年同期の1.1%からは回復した。
支出項目別伸び率は、家計最終消費支出が5.1%で前期の6.2%、前年同期の6.9%からは鈍化したが、依然堅調であった。一方、政府支出が13.2%増、資本形成も47.7%増と非常に高い伸びとなった。
輸出の伸びはマイナス7.0%増で、前期のプラス8.6%、前年同期のプラス9.8%から悪化した。GDPのマイナス勘定となる輸入の伸びはプラス1.6%で、前期のプラス8.0%から鈍化、前年同期のマイナス1.9%からは拡大という結果となった。
なお、上記のように、過去の数値が改訂されている。年間ベースでは、2012年GDP成長率が速報値の6.6%から6.8%へと上方改訂された。GNIは同じく5.8%から6.5%へと上方改訂されている。
一方、2011年GDP成長率は3.9%から3.6%へ、GNIは同じく3.2%から2.8%へと下方改訂された(13年5月30日の国家統計調整委員会資料などより)。
項目 | 構成比 | 四半期成長率 | 年間成長率 | |||||
年 | 13年 | 12年 | 13年 | 11年 | 12年 | |||
四半期 | 1Q | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 1Q | 年間 | 年間 |
GNI(国民総所得) | 100.0 | 5.7 | 6.5 | 7.3 | 6.4 | 7.1 | 2.8 | 6.5 |
GDP(国内総生産) | 84.3 | 6.5 | 6.3 | 7.3 | 7.1 | 7.8 | 3.6 | 6.8 |
NPI(海外からの純所得) | 15.7 | 1.9 | 7.6 | 7.1 | 2.7 | 3.2 | -1.6 | 4.8 |
セクター別内訳 | ||||||||
農林水産業 | 9.4 | 1.1 | 0.6 | 4.4 | 4.9 | 3.3 | 2.6 | 2.8 |
農林業 | 7.8 | 2.2 | 1.3 | 5.5 | 5.2 | 2.9 | 4.4 | 3.6 |
米 | 1.7 | -1.1 | 10.1 | 13.5 | 10.2 | 4.5 | 5.9 | 8.0 |
コーン | 0.6 | 5.4 | 4.0 | 11.5 | 1.6 | 11.4 | 9.5 | 6.3 |
水産業 | 1.6 | -3.8 | -2.5 | 0.0 | 3.4 | 5.5 | -4.3 | -0.4 |
鉱工業等 | 28.0 | 5.3 | 5.8 | 7.1 | 8.9 | 10.9 | 1.8 | 6.8 |
鉱業 | 0.8 | -1.7 | 6.5 | -1.2 | 2.8 | -17.0 | 7.0 | 2.2 |
製造業 | 19.8 | 6.0 | 4.3 | 5.8 | 5.5 | 9.7 | 4.7 | 5.4 |
建設 | 4.7 | 1.5 | 11.6 | 17.8 | 29.9 | 32.5 | -9.8 | 15.7 |
光熱ガス | 2.7 | 8.5 | 6.1 | 2.7 | 3.4 | 0.1 | 0.6 | 5.1 |
サービス産業 | 46.9 | 8.4 | 7.7 | 8.0 | 6.5 | 7.0 | 4.9 | 7.6 |
運輸倉庫通信 | 6.6 | 9.7 | 9.3 | 9.4 | 4.4 | 3.5 | 4.3 | 8.1 |
商業・自動車修理等 | 12.7 | 7.8 | 7.8 | 8.2 | 6.6 | 5.6 | 3.3 | 7.5 |
金融仲介 | 6.0 | 8.7 | 7.0 | 8.6 | 8.8 | 13.9 | 5.2 | 8.2 |
不動産等 | 8.8 | 7.8 | 8.1 | 7.8 | 6.5 | 6.3 | 8.4 | 7.5 |
支出別内訳 | ||||||||
家計最終消費支出 | 57.3 | 6.9 | 6.6 | 6.7 | 6.2 | 5.1 | 5.7 | 6.6 |
政府最終消費支出 | 9.7 | 21.3 | 7.2 | 12.3 | 9.5 | 13.2 | 2.1 | 12.2 |
資本形成 | 16.9 | -31.3 | 3.6 | 6.2 | 9.5 | 47.7 | 2.0 | -3.2 |
固定資本 | 19.3 | 2.8 | 8.7 | 10.5 | 19.7 | 16.8 | -2.0 | 10.4 |
建設 | 7.3 | -1.2 | 10.2 | 19.2 | 30.4 | 33.7 | -8.4 | 15.1 |
耐久設備 | 10.1 | 4.5 | 8.4 | 5.8 | 14.1 | 9.4 | 2.7 | 8.0 |
輸出等 | 37.7 | 9.8 | 10.8 | 6.2 | 8.6 | -7.0 | -2.8 | 8.9 |
輸入等(控除勘定) | 37.5 | -1.9 | 8.3 | 7.0 | 8.0 | 1.6 | -1.0 | 5.3 |