比トヨタ自動車、第1四半期も49%増益と好調

2013/05/15

断トツのシェアで好業績、12年連続の三冠王へ
GTキャピタルの実質112%増益決算に寄与

 

 メトロバンク・グループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)が、2013年度第1四半期(1月~3月)の決算速報を発表した。

 GTCAPの主要出資先は、不動産(フェデラルランド)、自動車(トヨタモーター・フィリピン=TMPC)、発電(グローバル・ビジネス・パワー=GBPC)、保険(アクサ・フィリピン)、銀行(メトロバンク)の5分野である。

 第1四半期の収入は前年同期比789%増(約8.9倍)の223億ペソへと急増した。上記の出資先が総じて好調であったことにくわえ、株式買い増しによりTMPCやGBPCが子会社化されたことによる。純利益も同211%増(約3.1倍)の40億ペソと大幅増益となった。一時的損益を除外したコア純利益も同112%増(約2.1倍)の27億ペソに達した。すなわち、実質112%増益決算であった。

 不動産企業フェデラルランドの純利益は同117%増(約2.2倍)の2億4,000万ペソ、電力企業グローバル・ビジネス・パワー(GBPC)の純利益も3億9,070万ペソに達した。有力銀行メトロバンクの純利益は同163%増(約2.6倍)の114億ペソへと急増した。アクサ・フィリピンも、保険料収入が同74%増の47億ペソ、純利益が同98%増の3億2,400万ペソに達した。
 
 一方、トヨタモーター・フィリピン(TMPC)の純利益は同49%増の11億ペソに達した。2012年の年間純利益は前年比37%増の30億ペソと大幅増加したが、2013年通年でも業績続伸が期待できる状況である。

 TMPCの第1四半期販売台数は1万6,970台に達した。そして、フィリピン自動車工業会(CAMPI)加盟企業におけるシェアは断トツの40.6%で、第2位の三菱モーター・フィリピンズの24%を大きく引き離している。

 TMPCは、2012年のCAMPIの車種別シェアにおいて、乗用車で44%、商用車で40.7%と双方首位となった。すなわち、フィリピン自動車市場の三冠王(総販売台数、商用車販売台数、乗用車販売台数いずれもトップ)である。このTMPCの三冠王は11年連続の偉業であるが、2013年も12年連続での達成が期待される。

 GTCAPは、メトロバンクが保有していたTMPC株式約464万株(30%)を、昨年から今年初めにかけて取得した。取得総額は90億ペソであった。これにより、GTCAPのTMPC直接保有比率は51%に高まった。一方、メトロバンクの直接保有比率はゼロとなったが、メトロバンク・グループの保有比率は51%のままで変化はない。この売買により、GTCAPは主力事業の一つである自動車事業の基盤を強化する一方、メトロバンクは、バーゼルⅢ自己資本基準導入に向けて、自己資本や財務基盤を一段と強化する。
 TMPC株式30%の売買額90億ペソは、独立機関の算出や第3者のオピニオンなどによって慎重に決定されたものである。したがって、TMPC株式100%の価値、すなわち企業価値は300億ペソ(約750億円)と試算されたことになる。

 なお、TMPCは、1988年にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立され、1989年から生産/販売を開始した。TMPCの出資比率はトヨタ自動車34%、 三井物産15%、GTCAP51%、従業員数は約1,300名である(13年5月14日のフィリピン証券取引所回覧3892-2013号などより)。